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【分析】アニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』 よくある展開

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物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。

銀河機攻隊マジェスティックプリンス オリジナル・サウンドトラック
『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』オリジナル・サウンドトラック

今回は、アニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』をとりあげます。
テーマは「よくある展開」についてのお話。

アニメ公式サイトはこちら

『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』のあらすじ

特務機関MJPに所属するイズルらチームラビッツの面々は、個人の能力は抜群だが、チームワークがザンネンな問題児ばかり。そんなラビッツに、全地球防衛軍GDFから出撃要請が下る。初の実戦で撤退戦を命じられ緊張を隠せないイズルたち。しかし、彼らが受領した新鋭機アッシュの力は凄まじく、イズルたちは放棄するはずだった基地を防衛するという予想以上の戦果を上げる。

銀河機攻隊マジェスティックプリンス公式サイトより引用

『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の感想

リアルタイムでは見てなく、2016年の再放送で見た。
ロボットアニメは24話くらいあるので、それほど見る気はなかったが、再放送では1回で2話分まとめて放送する形だったので、見やすかったのでたまたま見たアニメ。

なんか不思議な雰囲気だな」というのが第一印象。
今まで見たロボットモノにしては(そんなにたくさん見てるわけじゃないけど)、ゆるーい感じ。
殺し殺されるロボットモノにしては、ほのぼのしている感じが印象的。
5人の淡々とした日常が描かれているシーンが多いせいかもしれないが。
この雰囲気については、分析とからむお話になる。

ちなみに、第2期OP 昆夏美『PROMPT』は好き。
耳に残るなぁ。

とにかく全体的には、面白く見れた作品。

今回のテーマ「よくある展開」

物語のよくある展開

物語やジャンルによって、たいてい「よくある展開」がある。

ハリウッド映画とかわかりやすいのかな。
ハリウッド映画だとたいてい「恋愛」の展開が必ずからむ。
無いというのはあまりない。「家族モノ」でも、どんなテーマでも。
ハリウッド映画にとって、「恋愛」はよくある展開。

ジャンルでいうと、例えば「恋愛モノ」だと「三角関係」や「勘違いによるすれ違い」とかの展開がよくある。
各ジャンルでは、王道的にそういうよくある展開があったりする。

それらは定番の展開だけど、それなりに作品に強さが出る。
また長年をへて定番となったよくある展開は、視聴者にはわかりやすい

しかし、雰囲気がワンパターンになりがちになる。
なんか「どこかで見たような感じ」といった印象をもたれるデメリットがある。
なのでそういう展開を使う時は、安易に使うのではなく、そのような印象をもたれないような工夫が必要となる。

『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』のよくある展開

それでは銀河機攻隊マジェスティックプリンスの、よくある展開について見てみる。

恋愛がない

見ていて気になったのは、あまり「恋愛」の展開が描かれていない。
ロボットアニメでも、よく恋愛の展開が描かれたりするものなのに。
恋愛要素がまったくないというわけじゃないけど、それほど展開がない。

主人公イズルは、テオーリア姫を好きな感じだけど、それほど話は発展しない。
たいしてからむシーンもない。
2人っきりになるのは1回ぐらいじゃなかったかな?

仲間の女性パイロットのケイは、イズルのこと好きそうに見えるシーンがいくつもあるが、イズルがケイに対する反応はほとんどない。

そのケイに対して、仲間の男性パイロットのアサギケイのことが好きそうだけど、それほど話は発展しない。

物語によって作品中に描かれなくても、「あー2人はいずれ恋人同士になるのだろうな~」みたいな感じがあったりするものだけど、それもない。
簡単にいうと「片思い」だけで終わっている感じ。一方的で、相手の反応がほとんどない。
イズルに関しては、片思いというより、過去の自分を知っているから特別な親しみがあるだけともいえるし。

恋愛についてはそのような感じだ。

敵側のドラマがない

似たように、「敵側の内情」の展開もあまり描かれていない。

通常、最近のロボットアニメだと敵側の内情がけっこう描かれる。
敵の内部での権力争いとか、敵の中での人間ドラマとか。
少しは描かれているが、ほとんどない。

敵の登場人物も、ほとんど幹部だけだし、彼らの世界や日常についていも、ほとんど描かれていない。だいぶアッサリしている感じだ。
24話もあれば十分描ける時間があるはずなのに、ほとんどない。

敵側のドラマについてもそのような感じだ。

作品の雰囲気

私が「なんか不思議な雰囲気だな」という印象をもったのは「恋愛」「敵側のドラマ」があまり描かれていない点にある。

そしてその分「5人の日常」シーンがけっこう描かれ、またその他の人物の日常も描かれている。
なので、あまり殺伐とした雰囲気でなく、ほのぼのした雰囲気を感じたのだろう。

「敵側のドラマ」というのは緊張感を高める
どうしても「戦争」という内容が強く関係するので。
また「恋愛」もけっこう緊張感を高める。
生々しい感情をぶつけ合ったりするので、どうしてもそうなる。
それらを無くした分、緊張の度合いは減る。

なぜそのようにしたかというと、もちろんテーマにそって作られているからだろう。

入れようと思えば入れれるけど、あえて無くした。
テーマをより強調するために。
この作品だと「家族」といったテーマかな。より抽象的にいうと「生命」とか。

もし、それなりの効果があるから、また安易に「よくある展開」の「恋愛」と「敵側のドラマ」を無理やりに入れていたら、テーマがぼやけていくだろう。また、つまらない作品になっていただろう。
つまらないというか、なんかどこかで見たことある「普通の作品」に。

それがこの作品の雰囲気の正体なのだろう。

まとめ

当たり前の展開を使うのは、楽で作品がそれなりに強くなる。
そして視聴者に、それなりに受け入れられる。

しかし、よくある「普通の作品」になる危険がある。
時には、「よくある展開」を忘れ、作品を作ることも大事。
テーマを中心に、捨てることも必要だ。
捨てるのも勇気が必要なんだけどね。

『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』は不思議と次々みることができた。
ほのぼのしてるわりに、緊張感の高い戦争をするわけだから、それが見やすかったのかな。

「戦争モノ」は緊張の連続で、どこで緩和するかがキモとなる。人は緊張ばかりだと疲れるし。
たいてい「戦争モノ」となるロボットモノを敬遠したくなる人は、そういうところもあるのかも。
『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の緊張と緩和のバランスは、不思議な効果うんだ作品といえる。
意外とロボットモノをあまりみない人でも見やすかも。
いうなれば「日常系ロボットアニメ」というのかな。

「なんか同じような作品ばかり作ってるなぁ…」という人は、このように「よくある展開」に目を向けて考えてみると、新しい表現ができるかもしれない。

2016年11月4日に『劇場版 銀河機攻隊マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』が公開されるが、こちらも面白そう。

出典:創通・フィールズ/MJP製作委員会 TVアニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』(2016年再放送)