物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『幼女戦記』の第11話「抵抗者」の感想分析をします。
ちなみに原作は読んだことはありません。
※ネタバレあり
11話「抵抗者」のあらすじ
ターニャは敵のライン方面軍司令部を強襲し、共和国軍の指揮系統撃滅に成功。その機に合わせ、帝国軍は坑道戦術でライン戦線左翼の敵陣地を突破。続けて機動力を活かした回転ドア作戦により、遊兵化した敵主力部隊を完璧に包囲した。あとわずかで共和国との戦争を終わらせられる。平和が戻ってくれば安定した出世の道が待っている。そんな確信を抱きながら、ターニャは大隊を率いてライン戦線に赴いていた。その数刻前、帝国軍が劣勢と見ていた連合王国は、本格的な参戦を開始。もはや遅すぎた介入ではあったが、そこにはターニャに憎悪を燃やすアンソンが、義勇兵として参加していた。アンソンは不意を突いてグランツを撃墜し、大隊との戦闘を開始する。
「幼女戦記」公式サイトより引用
感想
さて、今回はクライマックス「連合王国+アンソン大佐とのバトル回」。
クライマックスの激しいバトルということで、見ものでしたね。
始めは隊同士によるバトル。
空中戦にてグリングリンと動きまくり、熱いバトルが展開されました。
個人的には、ところどころのバトル音がイイですね。
ドピューンとか、ヴォンとか、キュキュキュとか。演出に効いてます。
途中、ターニャ大隊が劣勢になり、忍法雲がくれ(前世の知識か?笑)。
そこからの、ターニャツッコミの無双ぶり。
敵をボコボコと撃ち落とし、カッコぅいぃぃぃ!しびれるぅぅ!
次に、太陽をつかっての旋回アタック!(たしか、以前にもやったっかな)
しかし、華麗に倒しているようで、頬に傷が。細かいとこで切迫感でてイイです。
そして、一番の見どころは、なんといってもアンソン大佐とのバトルですよね。
神パワーをえた、大佐がどんな神パワーを見せるのか?魔眼か?化物に変身か?
トレンチガンかよ!(笑)
すごい神パワーが出るかと思いきや、物理でしたか。逆に意外性があったわ。
まあ、スピードとか魔力とか、多少はパワーアップしてるのかな?
条約違反による、ズルいトレンチガンでの攻撃。
さすがのターニャも、太刀打ちできない。
仲間の3人がサポートしようとするが、太陽アタックをパクられ撃墜!
銃もそうですが、「使えるものは何でも使う!」という大佐の意思が感じられます。
自分の信念より神の意思、悪魔を倒すための攻撃(笑)
ヴァイス中尉「ケーニッヒ!ノイマン!」
しかし、毎回叫ぶのはヴァイス中尉だな。前回は「グランツ!」と。叫び担当(笑)
感情に身をまかせツッコむヴァイス。それを祈りパワーで助けるターニャ。
ターニャが身をていして仲間を助けるなんて。クッ(泣)
大佐とのバトルが再開され、お互い銃を突きつけ合う形に!
息を呑む瞬間。ドッ、シャキン、グチャ。
ターニャの肉体言語がまさりました。
ここでも音がいいよね。硬質な音から、生々しい音へ。
もちろん、動きも美しく決まってます。
そこで、ニヤリとターニャ。
しかし、大佐もニヤリと。腕をつかまれ、自爆モード。
ターニャが以前に会った相手と気づき、神のしわざと知る。
「はなせー、はなせー、はなせー」と駄々こね。
いえ、幼女が駄々をこねてるのではありません(笑)
ターニャ、ピーンチ!幼女戦記は完か!
そこへ、ヴィーシャ登場!ドン!ターニャを助けます。
盛り上がっていく音楽。止まる音楽(音楽の対比が盛り上げてる)。
ターニャが銃かまえ、フルボッコ。ドンドンドンドンドンドンドン!
大佐のフルボッコされる映像は美しいです(笑)
で、やっぱり最後は爆発オチと。
でも、このシーンの一番大事なところは、「ターニャがヴィーシャに助けられたところ」ですね。
たまたま、都合よく助けられただけじゃないです。運命を分ける大事なシーン。
もし、始めの頃のようなターニャだったら、助からなかったでしょう。
言いかえると「誰も助けなかった」。
ダメな社員をリストラすることに、何の感情もわかないような彼だったら。
ターニャが物語を通じて、変化した結果がヴィーシャが助けるという行為につながりました。
その大きな表れとして、前のヴァイス中尉を助けたシーンがありますね。
感情に身をまかせる無能な部下なんて、見捨てたはずなのに。
ターニャは変化することができました。
そして、援軍がきて、バトルはおしまい。
ちなみに、グランツは生きてましたね(笑)
まあ、そうだろうとは思いましたが。
そこのグランツに対し、ヴィーシャの反応が気になりましたね。頬が赤く。
2人はいつの間にか、デキているのでしょうか?
帝国は勝利。
しかし、戦いは終わっていないと。
ターニャはすごい焦って出撃しようとするがダメと。絶望するターニャ。
正直、なぜここまで気にするのか、始めはよくわからなかったです。
でも、他の方の感想をみて、「あーなるほどね」とわかりました。
実際のリアルの世界大戦で、そういう歴史があるということなんですね。
その知識があって、勝ちはしたが自分の国が不味い状況にあると。戦争は終わらないと。
ちょっと、そこは軽くでもいいから説明ほしかったかな。
ただの「気にしすぎ」という感じにも見えてしまうし。
とにかく今回は、クライマックスなだけあって、強く見どころが表現されていました。
インパクトも十分。さすが、幼女戦記といえる回でした。
しかし、もし戦争が終わっていたら、どうなっていたのかな~
ターニャのことだから、次は安定した生活をするために「お婿さん探し」をするかも!(笑)
本当は男なのに、苦しいながらも男性と結婚しようと葛藤する姿。
そんな、未来ルートも見たいな(ゴホゴホ)
ぜひ、2期で!
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきましょう。
ターニャのキャラクター
ターニャといったら「ニヤリ」ですね。
ポイントで決めてます。
アンソン大佐にナイフの一撃をくらわした時に、ニヤリ。
しかし、ニヤリ返しをやられ、超ピンチ。
ターニャのキャラクター表現であるニヤリが、このシーンにいきてます。
そして、戦争勝利後の教会シーン。
神の像に対し、ニヤリと。
後で、ここでもニヤリが後で返されますね。
ターニャの「ニヤリ」がいきてます。
また、「焦る」ターニャが印象的でした。
「終戦ではなく、停戦」に気づき、超焦るターニャ。
いつも焦りは、「こんなはずではなかった」というギャク的な感じですが、今回は超真面目です。
ターニャのキャラクター表現の「焦り」がいきています。
もちろん、アンソン大佐に腕つかまれ「はなせー、はなせー、はなせー」も真面目ですが(笑)
どう焦らせるかは、ターニャのポイントになりますね。
バトル
さすがに、バトルは動きが気合入ってます。
グリングリン動き、プロの技がきいてます。
そして、動と静のメリハリがいいですね。単調なバトルになっていません。
バトルの流れの構成が良く、面白くなってます。
空中戦だと、単調なバトルの流れになりそうですが、いろんなキャラの視点をつかったり、雲をつかったバトルの変化の流れがあったりと、他細かく工夫されてます。
また、アンソン大佐のバトルも、途中で間があってから、再度再開されたりと構成がいきてます。
例えば、ヴァイス中尉が助けられ、ターニャと戦っているアンソン大佐を銃で狙いますが、そのスコープ?からのぞいたアングルシーンも、単調にならないようバトルの流れの抑揚をうんでます。
工夫してますね。
そして、感想でも述べましたが、音もいいです。
あちこちで細かく音が効いていて、音により盛り上げや間などメリハリがあり、音によるバトルの演出も効いています。
プロの技がいきている良いバトルシーンですね。
テーマの表現
クライマックスなので、テーマを表現する必要があります。
つまり、主人公・ターニャの変化ですね。
ターニャは変化したのか、してないのか。
初めの方では「理屈」で動いていたターニャ。感情のない人間。
自分のことだけ考え、ダメな人間をゴミのようにみてます。
感情的な人間を愚かと考えています。
しかし、クライマックスでは「感情」で動いてるターニャが表現されています。
感情的にツッコんでいくヴァイス中尉を、身をていして助けます。
その行動の結果として、ヴィーシャの助けとつながり、最後のアンソン大佐への勝利へとなります。ターニャが変化したからこそ、ヴィーシャが助けます。
もし、初めのような人間なら、助けはなかった。
ヴィーシャは、「判定の女神」といえるかな。
そのようにクライマックスで、ターニャの変化が表現されていますね。
ユーモア
緊張ばっかりのシーンだけじゃあ物足りないです。
緊張の後には、緩和も大事。
特に戦争が終わった(仮)ですから。
それが、男性達の水着シーン(笑)
馬鹿な男共の宴です。
司令官達も混ざれば、より面白いのですが(笑)
いい声+裸祭りと。まあそれは無理ですか。
前フリ
ターニャが「終戦ではなく、停戦」に気づきますが、前フリを入れてますね。
子供達がケンカしてるシーン。
3人で1人をボコボコし、倒される少年。
しかし、その少年は「絶対、許さない!」と立ち向かっていきます。
逃げた共和国の部隊を表していますね。今後、そういう可能性があると。
前フリは大事ですね。
それによって、よりターニャの言葉が強調となってます。
おわり
さて、クライマックスも終わり、次回はエンディングです。
どうするんですかね。
まあ、マッタリとしつつ、神との最終バトルでもして、次の戦争が起きて「俺たちの戦いはこれからだ!」といった感じで終わるかもしれません。
そして、2期と。
または、2期やらないで、アニメオリジナルのオチなんてつけるのでしょうか。
ヴィーシャが女神に変身して、「実は神としてあなたを見守っていたのです。あなたは心をいれかえて、よい人間になりました。だから元の世界に戻してあげましょう」とか言い、元の世界へ、元の姿に。ちゃんちゃんと。
そうしたら、元の男の姿に戻った視聴者が「ふざけんな!ターニャは男じゃない、幼女なんだよ!幼女を返せ!」とブチ切れてしまうのでしょうか。それはそれは、怖いオチです。
ラスト楽しみですね(笑)それでは、また次回。
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幼女戦記の基本情報
【感想分析】1話「ラインの悪魔」/2話「プロローグ」/3話「神がそれを望まれる」/4話「キャンパス・ライフ」/5話「はじまりの大隊」/6話「狂気の幕開け」/6.5話「戦況報告」(総集編)/7話「フィヨルドの攻防」/8話「火の試練」/9話「前進準備」/10話「勝利への道」/11話「抵抗者」/12話(最終回)「勝利の使い方」/総括
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出典:カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会/アニメ『幼女戦記』(AbemaTV 2017年3月24日放送)第11話