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【感想分析】アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』 第11話を視る!

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物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』の第11話「歌えなくなっちゃった!」の感想分析をします。

原作は途中で読んでます。また、アニメ『ラブライブ』との比較分析を、軽く入れたりと。
※ネタバレあり

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11話「歌えなくなっちゃった!」あらすじ

「あんたが一番できていなかった」――そうオーナーに言われ、自信をなくしてしまった香澄は、オーディション中に声が出なくなるという事態に直面する。落ち込む香澄をメンバーたちは気遣って練習を休むように提案するも、遅れを取っている自分へさらに焦りが募る。徐々に迫るオーディション。一丸となって練習をするみんなの熱量とプレッシャーに堪えきれず、香澄は蔵を出ていってしまう――。

BanG Dream!(バンドリ)公式サイトより引用

感想

さて、今回は「香澄の復活回」。

いいお話ではありましたね。
蔵の練習では、やっぱり歌えず飛び出して、そしてみんなのフォロー。
香澄がダメダメなのは知ってるし、自己中なのは知ってるしと。
それでも、香澄がいたからと。
特に、有咲が強くフォローしているのが、いいですよね。
有咲がいるからの香澄にもなっているし。

ちなみに、妹・明日香のフォローもいいですよね。
身近にいるからのフォローとなります。お姉ちゃん想いの妹です。
視聴者の方の中には、「なんで俺には妹がいないのだろう…」とちょっと悲しくなるのかもしれませんが(笑)
また、微妙に明日香回ともいえますね(笑)

そしてラストには、みんなでのアカペラと。感動の場面です。
他の4人が歌うのは、何か新鮮ですね。こんな風に歌うんだという(笑)

最後には、香澄の「歌っちゃった」(テヘっ)。
タイトルの逆をいって、オシャレに決まりました。
いいオチです。いいお話でした。

しかし、いいお話ではあるのですが、何かフワっとした感じでインパクトが弱めでした。
大事な話なのに、いまいち盛り上がっていないというか…
原因は、いくつか考えれますね。

まず、「動機」が弱いってのがあります。
「絶対ここでライブしなければいけない!」という動機がそれほどないので、香澄の挫折や彼女たちの盛り上がりが、イマイチ説得力にかけてしまう。

次に、今回の「ストーリーの流れ」と「演出」。
ストーリーが山場に向けて、ぐぅぃーーん!と盛り上がる形になっていません。
山場まで、同じような単調なテンポで進み、急に山場がくる感じに。
そして、もっとシーンを盛り上げる演出ができるはずなのに、なんか弱めと。
なので、いまいち盛り上がりに欠ける。
このあたりは、下記の「分析」で詳しく述べますけど。

あと、香澄が悩んでいることですか。
1番は、自分が下手なのを悩んでいる
で、2番目が、まわりのことを考えないでいたことを悩んでる
1番が強くピックアップされていますが、2番の方が大事なんじゃないのかなと。
個人的には、「アレ?香澄は、そっちが強く気になるの?」と思ってしまいました。
まあ、それはそれでいいけど、う~ん…と引っかかりがありましたね。
というか2つあるせいで、話が少し曖昧になったのかな。

さらに、細かいことをいうと「解決策がすぐ目の前にある」というのも、少し話を弱めていますね。
解決策として「他の人が歌えばいんじゃね?」と思ってしまうところが。
特に「歌は香澄じゃなきゃダメ!」というシーンも、今までなかったですし。

といったところが、今回の話を弱めていると思います。
せっかくの回なのに、その点が残念なところ。

分析

それでは、技術的なポイントを視ていきます。

妹・明日香のキャラクター

今回は出番が多めの妹・明日香。明日香の魅力がタップリです。

あいかわず、いつもリビングのソファでダラダラしてます。
そして、そこが彼女の定位置となってますね。
お母さんに「勉強は?」と聞かれ「重力が重い」と。不思議なセリフをはきます。

また、明日香のファッションショーでもありましたか(笑)
普段着×2、パジャマ姿、夏の制服、スクール水着姿と。
1話で、いろんな明日香の姿がみれます。

驚きのシーンとしては、玄関で優しい明日香に香澄が突然キスし、キャーキャーと。
姉妹のキャッキャウフフっていいですよね。

そして、夜縁側での姉妹の会話。
1話と同じ雰囲気。あえて、あわせて決めてますね。
姉妹ならではのシーンです。

有咲のキャラクター

今回は、有咲の見せ場でもありました。
病院から学校にきた香澄に対し、一番にバカ!と頑張りすぎだと香澄をせめてたり、山場では一番にフォローしてます。

始めは、なりゆきで香澄とバンドをやることになっていった有咲。
どことなく距離をおきつつ、バンド活動してましたが、自分の想いを素直にぶつけます。
有咲だから、決まる今回の話ですね。
さすが主人公・香澄のヒロイン(笑)

ストーリー構成+演出

今回は、せっかくの話なのに、どこか盛り上がりに欠けています。
ストーリーの構成演出がうまく機能してない。

お話というのは、山場に向けてぐぅぃーーんとベクトルが上昇して、盛り上がっていかなければいけません。そうすることで、お話を強く感じ面白いと思う。お話作りの基本。

でも、今回のお話は単調なテンポままで進み、急に山場がきている感じに。
ベクトルが上昇しないで平らなままで、急に山場で上昇という感じ。
多少は、山場に向かって盛り上がりをつくってはいるのですが弱い。

そこで、修正案を考えてみます。

今回のお話の流れは、簡単にするとこんなです。
香澄が挫折中→妹・明日香のおかげで仮復活→練習で歌えず超挫折→公園での山場で復活

この流れ自体は別に悪いわけじゃないですが、大事なシーンを強く演出できてなかったり、余計なシーンが邪魔してたりする。

まず、「妹・明日香のおかげで仮復活」のシーン。
夜に妹・明日香と話をし、朝に声が出るようになる。
この後のシーンは、余計なことしないで、香澄が元のように元気になった風にするべき。
シンプルに、物事が再び上手くいっている感じを強くみせたいところ。
クラスメイトが、オーディションについてワイワイいって、香澄がひきつるシーンはいらない。
また、蔵までの歩く道のりで、あきらかに暗い香澄のシーンはいらない。
その余計なシーンのせいで、次の超挫折へのメリハリになっていない。
上手くいかなさそう…→挫折」より「上手くいきそう!→挫折」の方が強く進む。
ちなみに、香澄の明日香へのキスは、声がでた朝でもよかったかな。上手くいきそう感が上昇するし、愛も強く感じるタイミングですし(笑)

次に、「練習で歌えず超挫折」のシーン。
香澄が歌えず、みんなポカーン止まると。この演出は前回と同じなので、工夫がほしい。
また、そこの悲しみの音楽も同じなので、変化がほしいところ。無音でもよかった。
そして、超挫折の香澄のセリフ。「えへへ…みんなは練習してて」
もっと悲しみのただよう強いセリフの方がいい。
前の方の昼飯シーンで「もしダメだったら、私なしで」といったセリフを、ここで言ってもいい。
えへへ…オーディションは、私なしでやったほうがいいね」なら強い。

で、香澄が蔵を飛び出す。
ここは自分の荷物をしっかり持って飛び出すのでなく、何も持たずに飛び出してほしい。
その方が、シンプルに感情が強くでる。
または、心情を間接的に強く表現するなら、自分のカバンだけ持って、ギターを置いて飛び出すとか。
ギターは裏・主人公。また「キラキラドキドキ」の象徴。
その大切なギターを置いていくことで、強く香澄の絶望を出せます。
もしそうするなら、有咲がこの後でギターを持って、公園にいくシーンなんてあってもいい。それに対する会話も。1話のギターかっぱらった香澄の話にも、少しかけることができるかな。

そして、「公園での山場で復活」のシーン。
公園につき、香澄が泣く。
泣いているのが静かすぎて、感情が弱い。激しい泣きがほしいところ。プロの見せ所。
あと、最初の方でオーディションの夜に、ベットで泣くシーンあるけど、それは無い方がいい。
香澄の悲しみを貯めて、ここ一点で爆発させたいところ。

そこへ、みんなが駆けつける。
有咲だけが遅れてくるのは、ちょっとギャグが入ってて嫌。
真面目なシーンなので、そういう余計なことはしてほしくない。
むしろ、有咲が余計に頑張って走り、みんなより先に来てほしいかな。
そこでゼハゼハ言いつつ話かける方が、有咲の想いも強くでるし。

で、会話。
香澄が自分の思ってることを吐き出すのだけど、印象が弱くなっている。
前の方で、牛込ゆりに思っていることを既に言っているので、弱くなっている。
牛込ゆりとのプールでの会話は、余計かな。
むしろ、バンド内だけで、気持ちをぶつけあって解決する感じの方がいいし。

ラストに、みんなで歌う。
香澄のパートで香澄が歌うけど、すんなり行き過ぎ。「最後の困難」がほしい。
最初、すごいたどたどしい感じ。で、少しずつ歌になっていくぐらいは欲しい。
または、やっぱりダメ。で、有咲が香澄の手をとる。みんなが手を繋いだ円の状態に。そして、みんなも香澄パートを小さく歌う。香澄がグググと頑張る。で、歌になっていく。
そのような、より盛り上がる演出がほしいかな。

あとは、ベタに香澄が飛び出たところでで、ラストに晴れるという演出でも、普通に強くなったろうな。せっかく梅雨なんだから。まあ、描くのは大変だけど。

このような形ですと、今回の話が盛り上がったと思います。

作画問題

今回は、チラチラと目の感じが気になりましたね。
「あれ?こんな顔だったっけ?」と。

そして、先にも述べたように、大事な回なのに決めるところで演出が弱かった。
まあ、作画問題が尾をひいてるせいでもあるんでしょうね。
プロの見せ場が、全然でした。

おわり

そのような形で、大事な回なのですが、バンドリは決めきれていないですね。
せっかくの、いい話が勿体無いです。

さて、次回は再びオーディションですか。
しかし、タイトルから、一気にSpaceでのライブまでいきそうな気もしますね。
となると一応の最終回となりそう。で、残り一話は「遊び」の回なのかな。
夏休みで海にでもいったりするのかな。そして、新たな戦いのイベントが(笑)

次回も、めっちゃ見逃せませんね。
それでは、また。

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出典:BanG Dream! Project/アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』(AbemaTV 2017年4月8日放送)第11話