物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
テーマは「修正(リライト)」についてのお話。
『レガリア The Three Sacred Stars』Blu-ray 2巻
今回は、アニメ『レガリア The Three Sacred Stars』の「放送版」と「復活放送版」の4話『虚勢』の比較をします。比較といっても、細かい作画がどう変わったとかではなく、修正前の「放送版」の問題のあったストーリーがどうよくなったのかという点について検証したいと思います。
アニメ放送中に、修正前と修正後でどう変わったかを検証できる機会はめったにないので、物語を作る人にとってはレガリアは参考となる作品となると思います。
「放送版」がBDになることはなさそうなので、録画してる人に限りますけど…
修正されてどうなったのか
さて、レガリア最終回。
終わってないけど、比較は4話で最後ですね。
最後なので、気合を入れて分析したいと思います。
今回、セリフは一切修正していないと思います(確認した限りでは)。
シーンの大きな変更もなく、主に作画の修正となります。
それでは、修正してどうなったのか確認していきましょう。
レガリア・ギアの球
ヨハンくんが、ポーンポーンと投げてるレガリア・ギアの球に「強い光沢」が追加されました。
球が強調されました。
後々、いろんな波乱を呼びそうな球ですから、強調したのでしょう。
赤線ひくみたいに、これ大事!と。
その時のヨハンくんがちょうど乗せる人形のストックが切れてたからね
とアーベル氏に。
えっ、ストックって2体しかないの?もっとストック頑張ろうよ!
橋にやってくる
橋に到着し、ユイ達とアーベル氏が水平に向きっている緊張のカット。
修正前は、他のカットでは「街灯」があるのですが、このカットだけなかった。
リアリティを捨てて、そういう絵にしたかったのか?ただの描き忘れか?
修正後は、ここに街灯が2本追加されました。
ちなみに1本は、ユイ達のすぐ後ろに街灯があります。
なので、絵のイメージとしては「逃げれない」また「追い詰められた」感じがでますね。
以下は、修正ではないがツッコミどころ。
ユイ達は、橋に高級車でやってきますが「運転手」っていたんですね。
普段があまりに庶民的すぎたんで、そんなものいないかと(笑)
そしてアーベル氏がエナストリアには以前お世話になったことがあります
といい、ユイは驚いた感じでハッとなる。
イヤイヤ、その話は前の会議で聞いてたじゃん!
むしろ会議の時に、ハッとしようよ。
で会話が続き、「理由はいえないけど、レナ寄越せや」といった感じで言われた時。
レナがブチ切れて理由も言えないのについていけるわけ!
と。
イヤイヤ、おまえ1話で理由もよくわからずホイホイついていったじゃん!
で会話が続き、アーベル氏が国を背負うということは想像つきませんな
とかいって、ユイがそうだとしても!
とか真面目に話をしてる時。
アレ、アレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレ!
後ろに、ユイ達が乗ってきた車がまだいるー!
これからバトルだよ!運転手、危ないよ!それダメー!
運転手が気になって、この後の話が入ってこないよ!!!
いや、レガリア恐ろしい。
変身前のレナの顔
レナがユイに覚悟なんて必要ない!
というシーン。
レナの顔が、「ダダッ子」から「真剣」な顔に変更されている。
修正前は、わがままなただの小さい子みたいな顔でしたから。
ただの子供を表現したら不味いですよね。ただの子供じゃないし。
また、ユイの顔も同時に変わっている。
「可哀想な人を見るような顔」から「ハッとした顔」に。
レナが可哀想な子みたいになるしね。
しかし今回のレナの変身で気づいたのですが、体から「宝石」みたいなものが出てて、それに手をかざして変身してますね。
前の方の回では、この宝石にあまり気づきませんでした。
なので、「変身ってこんな感じだったっけ?」と思ってしまいました。
1話ではだいぶ白っぽかったので気づかず、2話では手元のカットはなかったし。
今回はちゃんと色味がハッキリしてるのでわかりましたけど、大事なカギとなる部分だと思うので、1話から目立たせないとダメですよね。
ちなみにこの宝石、OPではガキーンと合体しますけど、後々3体が合体とかするんですかね~
逆光
お互い変身した後に、アレクトとアーベル氏のレガリア・ギアが橋で水平に向きっているヒキのシーン。
修正では、「逆光」にして強調した絵になりました。
先の、ユイ達とアーベル氏が向き合う緊張のカットと構図が同じですね。
でも2回目なので、そこまで逆光を入れて強調する必要があるかは疑問ですね。
緊張、緊張となると、どっちが見せたい緊張なのかわからなくなり、弱くなりますね。
それに「負ける回」なので、そこまで強くしなくてもと思います。
で、ついでに始めに「アレクトが攻撃しようするポーズ」が修正されていますね。
かっこよさげな攻撃ポーズに。
で、バトルが始まっていくのですが、なんか気になったのは「橋の幅」ですね。
「4車線」の橋なんですが、カットによって「2車線」ぐらいに見えたり。
2車線だとこんなでかいロボットには狭く感じる…
まあ、このへんは気にしないで見るところですかね。
ふと思いましたが「街灯」って、なんかでかいロボットが攻撃するには引っかかりそうですよね。
腕ふると、ウオッて引っかかりそうな。
まあ、それも気にしないで見るのが物語ですかね。
その時、司令室は
アレクトがぶっ飛ばされて、司令室のシーンへ。
テーブルの真ん中に何か「青い飾り」がついていたのを修正して無くしています。
たしかにバトル前のカットでは、そんなものないし。
レガリアは、たまにこんな感じで整合性が取れていない部分がありますね。
しかし、司令室は「無反応」ですね。
アレクトがぶっ飛ばされて、少しはユイ達の心配の反応とかしめそうよ!
毎回、バトル中は人形となっています。
その時、喫茶店は
ティアとサラが突然、喫茶店から飛び出していくシーン。
背景を「夕日っぽい色味」に修正しています。そりゃそうですよね。
しかし彼女たちは危険を察知するなんて、何の超能力をもってるんですかね?
ファンタジーですね。
レナの負け顔
アーベル氏このまま無様な戦いを続けるのか?
とレナに問うシーン。
レナが「可愛い顔」から「厳しい顔」に修正。
というか修正前は、「つり目」じゃないじゃん。
可愛い顔というか適当に描いた顔。
このへんでユイがヤメて!このままだと街が…
と心配配しますけど、「橋」だとユイの気持ちがいまいち弱いですよね。
もうちょっと、軽い街中っぽいところだと説得力があるですが、橋か…
また前フリで、誰かの思いれのある場所とかなら、説得力もまた違うのですが。
しかし、このぐらいで戦うのをユイに止められると、いったいどこで戦えばいいのよ!となりますね。今後のバトルで戦う場所も探さないといけないので、大変ですね。毎回マジシャンと戦った場所で戦う?
そう考えると「空飛ぶロボット」っていいですよね。そのへん気にしなくていいので。
というか、後々飛んでしまうかもしれないのが怖いけど…
裏レナの登場
Bパートに入り、レナがベットで落ち込んで「裏レナ」が登場するシーン。
ここは、けっこうアチコチで修正があり。
修正じゃないが、今回の毛布は「ピンク色」。
今までの回の何度もの修正で、「白」に統一したかと思ってたけど、毛布にこだわっているのか、こだわってないのかわからないな。
裏レナがあらわれ、レナに近づくシーン。
レナの枕が、「黒っぽい色」から「青っぽい色」に修正されている。
印象が柔らかくなった。
また、ベットの足の方に小さい枕が置いてますが、2個しか置かれていないはずなのに、間違って3個置いているのを修正。
裏レナの正面を向いた顔が、「小悪魔な顔」から「静かな顔」に修正。
まあ小悪魔だと、ポップになりすぎですしね。
ついでにTシャツの形も微修正。
その後にレナが裏レナがいることに気づき、瞬間的に2話のバトル中のことを思い出すカットが流れるが、「コクピットで、ユイがレナの手をつかまえるカット」から、「ヒモの目がギョロ→コクピットで、ユイがぐったりして寝てるカット」へ修正。
たしかに修正前のカットはレナは意識を失っていたので、そのシーンを自分の目で見てないのに思い出すってのはおかしい。
レナが手で払い、裏レナが消えるシーン。
修正前は「粉みたくなって吹っ飛ぶ」みたいな感じだったけど、「ユラリと消える」ように。
ただのフィルタ処理ぽかったのでつまらなく、修正してアニメらしくなった。
ちなみに足の方の枕2つが、色がついているはずなのに白色と間違っていたので、色を入れて修正。
ここは間違い修正が多いな…
裏レナが消えた後に、レナが怯えるラストのシーン。
ここ一番大事なとこ。
レナの顔が「マヌケな顔」から「真面目な顔」に修正される。
気合いれて描いた顔に。
そして私…どうしたら…
と、手で顔をおおいベットに体を横たえる動き方が修正。
気合いれて描いた動きに修正され、いい動きに。
前よりレナの心情があらわれるシーンとなりました!さすがプロ!さすが…アレ?
アレアレアレアレアレアレアレアレアレ!
ベットの毛布が、シーツのように枕の下に入っている!
イヤイヤイヤ、これ毛布でしょ。なんでシーツ風に修正されているのよ!前のカットと違う!
オイオイ!しかも頭にのせるデカイ枕が、縮んでるじゃねーか!
なんじゃコリャ!前のカットと全然大きさが違うよ!
イヤイヤイヤ、しかもさらに酷いのが後ろの「写真立て」。
最初の方のカットでは、6つぐらいの写真立てが1つ1つ間を置いて並んでいたのが、一箇所に固まっている!うっそー!
問題なかった箇所が修正されておかしくなってる!なんだこの修正!
ポルターガイストか!!!
で、ハッと気づいた。
これは裏レナの嫌がらせじゃないか…
なんてヤツだ…そんな時間なんてなかったのに、いつの間にかそんな仕業を…
寝ようとして毛布に気づき怯え、朝になって写真立てをみて怯え。
クッ、レナにそこまでダメ押しの精神ダメージを与えるとは。
なんてヤツだ!
裏レナの恐ろしさを強く演出されている。もうガクガクブルブル。こんな演出みたことナイヨ!
喫茶店のレツの背景
レツが、レナにケーキと紅茶を出した後のカット。
レツの後ろの背景が、室内の「窓側」から「内側」に変更されている。
たしかに位置的に、レツの立っている背景で窓がみえるのは不自然。
時間なくて誤魔化したのかな。私も手抜きでそういうことやりたくなるし…
ティアとサラとレナの会話
サラにどうしてユイちゃんの力をかりないの?
といわれた後の、レナのアップのカット。
修正で「窓の光量」をさらにアップして、このカットを強調している。
レナの気持ちが転となるところなので、より強調された。
ついでに、この後のレナの「横に置いているバック」の位置が修正。
バックの位置によって、そのカットが乱雑な印象になってたけど、バックを外側によせてレナが強調される画になった。
工事現場
現場前にユイの車がやってくるカット。
無駄に目立っていた「瓦礫」を修正して、弱める。
大きさも小さくし、色味もくすんだ色合いへ。
ちなみに、だいぶ後ろの背景に「装甲車」が並んでいるのが追加されている(通行規制してるのかな?)。
で、ユイが車を降りるシーン。
全体的にアングルを変えている。
修正前は、不自然な車の止め方だったせいかな。
しかし、ここまで力入れて変えなくてもと思うとこ。
で、工事現場をのぞくユイなんだけど、なんか穴でかくね?
修正前に気づかなかったけど、こんなに空いた穴デカかったっけ?イヤイヤイヤ。
で、ユイに気づく工事現場の人達。
修正で「ボンヤリしたモブ顔」から「イケメン」へ!
始めに気づく男はイケメンに!さらに渋いダンディな人もいたり!
なんだコレ…
まあ「ブサメン」に変わった男もいえるけど、イケメン率が高くなる。
気合入れたキャラクター顔に。
変にリアルになって、気持ち悪いシーンになったな。比較して見てるせいかわからないが。
始めの男とか、あのマヌケっぽい感じがよかったのに。
何も深く考えてない国民みたくて(偏見?)。
で、工事現場の人がユイ様、元気なさそうだから心配したよ
というけど、「アレ?なんでオマエしってんの?そこから遠くて表情みえねーだろーが!微妙な違いをみわける幼馴染か!」とツッコミたい。
というか、この工事現場のシーンは何か弱いんだよな…
ユイの気持ちが変わる転のシーンとしては。
ただ普通の工事現場みるだけだし…
プリキュアとかだったら、まわりの近所の住人も一緒になって工事を手伝うとかするんじゃないかな。
近所のおじさんが「アッハッハ、俺にまかせろや!」、で近所のおばさんが「さあ皆さん差し入れですよー!」とか。
そういうみんなが一体となっている姿みて、気持ち変わるとか。
1人で戦うのはダメ!みんなと力合わせないと!と反省するんだから、みんなで協力している姿みてその考えを変えるならわかるけど。
だったら橋壊すより、少し街っぽいところを壊したほうがよかったんじゃないかな。
近所の人とか出しやすくなるし。
凝った洋風の街とか、人をたくさんを描くのは面倒だけど…そこか!?
まあ、橋はシンボル的に「次のステップに成長する中間点」みたいな感じを出せるけどね。
あと、ユイが最後の方で「どんなことがあっても前向きで、いつも笑っているエナストリアの人達が好き」みたいなこというけど、エナストリア人ってどういう人種なのかがうまく表現されていないので、ユイのセリフの説得力が弱い。
ユイが大好きな、ただの日本人っていう感じしかしないし。
そういう「国民の気質」を表現するのが難しいのが「空想の外国」となる。
国民の気質を表すシーンが何度かあればいいのだけど。簡単な手としては、外国から来た人がどこかで国民について発言があれば。外国から来たといえば、サラとティアかな。
「ここの国の人達って明るくて、いつも笑ってるね。ここの国は好き!」とかね。
まとめ
他にも小さい修正をみつけたところはありますが、このへんですかね。
全体的には、ミスを修正したり、甘かった大事なポイントのシーンの表情とか仕草をしっかり描いて説得力を強めた感じですかね。
たしかに修正前より、よくはなっています。大きな変化はないけど。
4話は、お話としては「覚悟」を問われる話でしたね。
アーベル氏は、ユイとレナに覚悟を問い、彼女たちがその答えをみつけると。
でも、このお話で本当に覚悟をみせたのは「運転手」だろう!
あのバトルの最中も、彼は実着に仕事をしていた。
運転手の「ユイ達を家に、安全に、確実にお届けする」という信念の元、職務をまっとうするために、ただ待つ。
レナがドカンと巨大ロボットに変わっても、ただ車で待つ。
ドカン、ドカン、ドカン戦っていても、ただ車で待つ。
途中から稲妻がドカンでも、ただ車で待つ。
ただの覚悟じゃあできないことだ。
彼の真の「覚悟」に感動した!
最後にアーベル氏がチラリと見たのはユイ達でなく、運転手だったのだろう。
そしてイングリット様には到底かなわない(運転手にもな…)
とアーベル氏が小さくつぶやく声が、私には聞こえた。
彼の覚悟と、なさけないユイ達の覚悟の対比が素晴らしい!
ただの放送版で、運転手に気づいてなかった自分が恥ずかしいです。
今後の「運転手」の活躍に期待が高まる(もしや、反撃は運転手!?)。
そんな感じで4話は、運転手やらポルターガイストとか、ウルトラCの演出が飛び出た回でしたね。
なんかレガリアが、とても面白くなってきました(笑)
皆さんはどうですか?
1~4話の比較の総括
4話まで「放送版」と「復活放送版」の比較してきましたが、問題のあったストーリーは少しはよくできましたが、ほとんど変えることはできませんでしたね。
大きな修正を期待していましたが、結局はシーンを変えない微修正だったので残念です。それだと、大きく変化させることはできないですからね。
まあ、今のアニメ業界としては、現実的にそんなこと無理なんでしょう。
漫画とか小説みたいに簡単に直せるものでもないですし、仕方ないですね。
全体を通して、バトルアクションは良いのですが、やはりキャラクターの表現やドラマがうまくいってない感じですね。バトルアクションに集中したせいで、他がおろそかになった感じ。
修正をみていくと、所々に時間がなかった形跡がチラホラと。
また洋風な画を描くのも、時間かかったかもしれないですね。
4話、または1話を作った時には、時間的にもうパンクだったのかも。
いくら質を求めたくても、時間は限られてますからね。
でも今回の微修正でも、作品の表現にどう影響があるのかが見れたのは作り手の人達にはよかったのではないでしょうか。作品づくりなんて微修正の連続だったりしますし。
セリフ一つでストーリーがよくなったりもしましたし、作画ひとつでも変わりますし、何を加えればそのシーンが強くなったり弱くなったりするのが見れたのではないでしょうか。
また一般の視聴者の方の、理解力のアップにもつながった作品になったのでは。
そんな形でレガリアは、アニメ業界に一つの功績を、伝説を残したのではないでしょうか。
イヤイヤ、まだ終わってないけど。
まだレガリアの伝説も終わってない。
これからさらにスゴイ伝説が待っているかもしれないし(笑)
今回で、この比較はおしまいです。
こんな機会はめったにないので、私も学びとなった比較でした。
でも、ここまでレガリアについて考察してきたので、私には最後まで見守る義務があると思います。
そこで、新たな「感想分析」カテゴリとか作って、最終回までレガリアを考察してみようと思います(ただのイチャモンになるかもしれないけど)。
そんなわけで、5話もお楽しみに!
出典:
Regalia Project/TVアニメ「レガリア The Three Sacred Stars」(BSフジ 2016年8月1日放送)4話
Regalia Project/TVアニメ「レガリア The Three Sacred Stars」(GAYO! 2016年9月22日配信)4話
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