物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「創り手の視点」の感想を読むことで、創り手としての視点を鍛えるシリーズ。
アニメ『レガリア The Three Sacred Stars』の第13話「家族」(最終回)の感想分析の最後に書いていた「おまけ記事」をこちらに移転。ノリノリで何度も改稿してたら、長くなったので(笑)
※ネタバレあり(1~5話までの)
『ねんどろいど レガリア The Three Sacred Stars レナ』
(おまけ)否…深読みすると、実はレガリアは面白い!
なんだこの糞つまんねー作品はよ!ふざけんナ!がんばった声優陣に謝れや!ったく。
…えっ、イヤ待てよ…
おいおい、待てよ…ハッ!そうだったのか!
なってこったい。よく考えてみると、僕はバカだった。
レガリアという作品の本当の意味を知らなかった。
なんて、未熟なんだ。
レガリアが本当に表現したかったのは、「アニメ業界の現状」だったんだ!
そういう視点で見てみると、作品の解釈が全然違って見える。
いや、まったくスゴイ作品といえる。
それに気づいた時は、謎が全てとけた。僕の体はガクガクブルブル。
解説すると、まず作品に出てくるエナストリア王国とリムガルド王国。
この王国というのは、「アニメ会社」を表している!
そしてヨハンくんとは、「アニメ業界にはびこる悪」の象徴なのだ。
アレクトの属性が「闇」というのも、「アニメ業界の闇」を暗にそれをしめしている。
で、レガリアとは「少女」のシンボル!
レガリアは不老不死、つまりは「永遠のアイドル」。
2000年も生きてきた。そのくらいオタクの僕らには、廃れることのない「少女」という存在。
そういうことだったのだ!
つまり、もっとリアルよりに物語を描いたらこうなる。
レガリアの真実の物語『レガリア The Animation Company ☆☆☆』
実直にアニメ作品を作っていた、エナストリアというアニメ会社。
彼らは、純粋な少女をアニメに描いていた。
視聴者に媚びず、下品なものを描かずに。純粋な少女「レナ」を描くことで。
そして長いこと会社を運営してきた。
一方、リムガルドというアニメ会社。
12年前。そこそこの実績はあるのだけど、イマイチ飛び抜けたヒット作品を出すことができないことに、会社は焦りを感じていた。まだ若いイングリット社長の元、この会社も実直に、純粋な少女を描くアニメ会社であった。「ケイ」という少女を描くことで…
そこへある日、取引先の偉い人がリムガルドにやってきた。
見た目は大人!頭脳は子供!その名はヨハン。そして彼は囁いた。
ヨハン「ヒット作品だしたいんでしょ。だったらもっと、どきついもの作ろうよ。スポンとか、ポロンとか、ペロンとか。純粋な少女なんて視聴者は、もう求めてないよ。そうすればヒットなんて簡単。だから僕の言うとおりに作れば大丈夫(ニヤリ)」
彼の言葉は、悪魔の囁きだった。そして彼の言葉にのり、会社は作品を作った…
ケイをそのようなキャラクターとして…
しかし、その作品は悪評だった。
今まで作ったことがないものを無理やり作ったので、彼らの技術はチグハグに作品をつまらなくした。
さらに、今までの会社が作ってきた作品を汚していると、ネットで炎上。
そして、一夜にして国民、いやアニメーターは消えた、いや会社を去った。社長のイングリットも、いつの間にか消え、会社には誰もいなくなった。
後に、人々はその事件を「リムガルドフォール事件」と呼んだ。
そして時がたち、エナストリア。
王国、じゃなくアニメ会社は少し経営が厳しくなってきていた。
先代の女社長が亡くなり、娘のまだ女子校生のユイが経営しているからだ。社長、兼監督。
先代からの長年いるスタッフ達がユイを支えていたが、まだアニメ経営者としては未熟。
でも、ユイ社長は健気に頑張っていた。そして会社は「レナ」を実直に描いていた。
そこへ会社に取引先の「偉い人の使い」がやってくる。
ちょっとガサツで下品なオジサン。
オジサン「ねえ、ユイ社長。今のままじゃあ、駄目だな~。レナちゃんをもっと過激なものにしようぜ。社長もほんとは好きでしょ、そういうの。裏では見てんじゃないの?グッヘッヘッヘ」
きっぱりと断るユイ社長。
オジサン「作れねーだって?何ならこの会社の人間全員潰したっていいんだぜ!」
それでも、引き下がらないユイ社長。
(その時、外から「クリムゾン・レイド!」と叫んでいる声が聞こえる)
するとそこへ電話がきて、ちょうど今作っていた作品が、プチ成功した知らせが届く。
「チッ」と、使いのオジサンは去っていく。
レナの力が、レガリアの力が彼を倒した。
ちなみに、さっき外から聞こえた声は、オタクで年齢不詳の亜玲苦斗(あれくと)君の声。
メガネをかけ、太り気味で、「赤いよくわからないラクガキ」がされたTシャツをいつも着ている。
エナストリアの作品、またレナのファンで、たまに会社の周りをウロウロしている。
自分で考えた「必殺技」を口走ったり、「自分はレナの力を具現化した存在です」とか、ちょっとおかしなことを言っているけど、悪い子じゃない。
次にマジシャンじゃなく、「詐欺的に口の上手い使いの者」がきたけど、レナの力でかわしていく。
そして次にやってきたのは、アーベル氏という紳士的な漢(おとこ)。
彼は今までやってきた人と、少し様子が違う。
「エナストリアには以前お世話になったことがあります(アニメーターとして)」
そして続けて彼は、衝撃的なことを告げる。
「理由は言えませんが、レナ様の権利関係を全部こちらに渡して欲しいのです」
ユイは怒り、猛烈に拒否する。
彼は、チラリと最近作っている会社の作品サンプルをみた。
その作品は、いまいち不調で、なかなか人気がでない。実はユイは迷っていたのだ。「レナ」のキャラクターの力をかりるだけでいいのか?もっとレナに頼らず、すごいストーリーを作ろうと模索していた。
アーベル氏「このまま無様な戦いを続けるのか?」
ユイは驚く。そして彼は静かに言う。
「あなた様の迷いが、会社全体に蔓延し、この作品も何がしたいのかわけがわかりません。とても酷い作品です」
アーベル氏「会社を背負うということは想像つきませんな」
ユイ「それでも!」
なんだかんだ言ってもユイの負けだった…全部図星だったのだから。
そんなユイを見て、「考えておいて下さい」といいアーベル氏は去っていった。
ユイは、ここ数日ボーゼンとしてる。学校も仕事も身に入らない。
フラフラしてると、アニメーターが描いている作画「現場」にたどりついた。
カリ、カリ、カリ、カリ…
一生懸命に「橋」の背景画を描いている。鉛筆の音がリズムにのって気持ちよく走る。
ラフだった橋の絵が、どんどんと生命を吹き込まれたように描かれていく。
今まで何度もみた光景だけど、なぜか見入ってしまっている。
そんなボーとしてるユイに、アニメーターが気づき「おーい、おーい」と顔の目の前で手をふる。
ユイはハッとし、恥ずかしそうに頬を染め、その場を去る。
社長室に入り、レナの描かれているポスターの前に立つ。
ユイ「お姉ちゃん…」
ユイは1人の時は、レナのことをそう呼ぶ。
小さい頃から、ユイはいつもレナと一緒だった。ユイが悲しい時や、困っている時は、いつもアニメからレナがユイに語りかけてきた。時には、レナからいろんなことを教わった。今、料理が得意なのもそうだ。それは、まるで本当のお姉さんのようだった。
ポスターのレナを見つめると、ユイにはレナが苦しそうにみえた…
その時ユイは、いつかレナがいってたことを思い出す。
夕方。ユイは会社の人間を集める。
ユイ「ごめんなさい!私自分がちゃんとやらなきゃって焦ってた!そんな私のためにレナにも無理させちゃってた!」
ユイは気づいたのだ、自分1人で作っているんじゃない、みんなで作っていることに。
そんな当たり前のことを、焦って忘れていた。レナの昔いってた言葉を忘れていた。
社員のみんなは、そんなユイをみて笑顔になった。
覚悟を決めた会社は強かった。
みんなの力をかり、話し合い、意見を出し合い、揉めたりもした。
でも、楽しかった。厳しく、辛いけれどみんな楽しかった。
そしてユイは自分なりの覚悟を決めた。
今まで「仮」の社長だったけど、本当の社長になることを決めた。
ユイは思いを込め、社長になるための「契約」書にハンを押す。
そしてついに、みんなで作った最高の作品が出来上がった。
夜。ユイは出来上がったばかりの作品を持ち、再びアーベル氏に会いに行った。
彼女の手はすこし震えていたが、ギュと力こめ、みんなを自分をレナを信じた。
彼は黙って、それを受け取り、優雅な動作でDVDデッキに入れ、作品の鑑賞を始めた。
…作品が終わるまで、長い沈黙の時。
そして作品のEDが終わる。
そこでユイは言う「私は1人じゃない。みんなと一緒に悩んだり、考えたりしながら、一生懸命この会社を守っていく。それが、私の見つけたアーベルさんへの答えです。私はレナやみんなとエナストリア(アニメ会社)で生きていきたい。あなた達にレナを渡すことは出来ません!」
(その時、外から「グラファイト・チャージ!」と聞こえたのは、私の空耳)
その言葉を聞いたアーベル氏は、席を立ち、扉の方へと向かう。
「ユイ様、イングリット様を頼みましたぞ…」
彼はそう小さくつぶやき、どこかへ消えた。
それ以来、この業界で彼を見た者は誰もいない…
ユイが会社へ戻ると、会社のみんなが全員待っていた。
みんなが、どうだったかの反応を待っている。
ユイは笑顔になり、そっと目をふせる。
会社のみんなが、一斉に「ワァ~~~!」と歓声をあげた。
今日は、ちょうど会社の設立記念日。作品の祝いもかねてパーティーが繰り広げられた。
パーティーの中、ユイは壁際でみんなを眺めていた。
そして、ふと横をみると、レナがこちらを見て穏やかに笑っている姿が見えた。
目をパチパチさせると、その姿は消えていた。首をかしげるユイ。
パーティーは盛り上がり、みんな楽しそうに笑っている。
ユイは、この会社の社長で本当に幸せだと思った。
…しかし、ユイはこの時まだ気づいていなかった。
アニメ業界の本当の恐ろしさを…そしてレナの、レガリアの本当の真実を…
てーれてーれれーれーれー、れれれれれーれー
てれれれれーてれれれれれれれー
(ED終了)
…ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ゴホォ、ゴホォ!
彼は電柱に手を置いて、地面に膝をつき、荒く息をしている。
横を通りがかったカップルが、彼を変な目でみる。
彼の体力は、もう限界だった。無理をして力を使いすぎてしまった。
しかし、まだ倒れるわけにはいかない。彼には大切な使命があるのだから。それが彼女との約束だから…
見上げると、そこはエナストリア。中で楽しくパーティーをしている声が聞こえる。
それを聞いた彼は、「フッ」とかすかに笑い、その場を去る。
運動不足の彼にとって、あそこまでの距離を走るのは、厳しい戦いだったのだ…
(このアニメ会社を描いた物語『レガリア The Animation Company ☆☆☆』が近日公開!…するかも?)
出典:Regalia Project/TVアニメ「レガリア The Three Sacred Stars」1話~5話
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