物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「創り手の視点」の感想を読むことで、創り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『幼女戦記』の第1話「ラインの悪魔」の感想分析をします。
ちなみに原作は読んだことはありません。
※ネタバレあり
1話「ラインの悪魔」あらすじ
帝国西方、国境付近のライン戦線。帝国にとって共和国による不意の全面攻勢は、完全に想定外の事態であった。対応に追われた帝国軍は辛うじて防衛線を死守し、協商連合へと北進させていた主軍の転進を発令。戦線の再配置を急ピッチで進めるが、やはり対応の遅れは否めず、初戦における多大な損耗は免れなかった。そこで帝国軍参謀本部は、増援として航空魔導部隊を前線に投入。だが増援は新兵ばかりの寄せ集めに過ぎず、劣勢を余儀なくされていた。塹壕線には砲弾が止むことなく炸裂し、爆煙と轟音のなか、多くの兵士たちが次々と銃弾に倒れてゆく。そんな地獄のようなライン戦線には、戦場に似つかわしくない金髪碧眼の幼女、ターニャ・デグレチャフの姿があった。
「幼女戦記」公式サイトより引用
感想
『幼女戦記』は、CMのPVで初めて知りました。
PVは、残酷な幼女の話といった印象。けっこうなインパクトのある題材ですね。
ありそうでなかった感じの設定なんですかね?
主人公以外では、そういうキャラクターとかはいたのかな。
で、実際の1話は、PVどおりの残酷な幼女の話でした(笑)
いい人なのかと思わせといて、もちろんオチは残酷と。
個人的には、こういうテイストは好きですね。
しかし、もし普通の男が主人公だと生々しいのでイマイチだと思いますが、幼女となるとどこか童話じみた感じでいい雰囲気です。残酷でも、へっちゃらになるのが幼女の不思議と。
そしてキャラクターとしては、可愛いですね(笑)
常に怖い顔系の重すぎるキャラじゃなく、普通に可愛い表情もしているのがGOOD!
また、ターニャが「語り」があるのはいいですね。
呪文となえるのも語る感じだし、武士の戦いの前みたいな名乗りみたく相手に語っていたのも。
これまたキャラクターがたちます。
あと細かいところで、「顔の汚れ」がいい感じ。
戦った後とかで汚れていたり、ラストの爆発の後もススで真っ黒的なところ。
幼女感が出ていいです(泥んこ遊びして帰ってきたような。笑)。
これが常に綺麗な顔だと、あまりにも完璧感が出て、ちょっとつまらなかったかも。
とにかく1話は、バシッ!と決まっててよかったですね。
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
残酷さ(テイスト)
残酷さを出すための工夫があちこちとあります。
それをどう表現してるかみてみます。
幼女というギャップ
幼女だから、残酷さを強く感じるというところがあります。
もし普通に「少年」や「大人」が主人公だと、普通で見飽きてるので、それほど印象は強くない。
そんなことしなさそうな幼女がやるからギャップでいいと。グッとくる。
ヴィーシャとの対比
残酷な雰囲気とは、ただ主人公1人が残酷なら表現できるわけじゃないです。
キャラクターバランスが大事。
残酷さを引き立てるキャラクター、それが部下のヴィーシャ。
いかにも優しい感じの、人のよさそうなヴィーシャ。
彼女との対比があることで、ターニャの残酷さが引き立ちます。
初めは「妖精」とか言ってますし(笑)で、対比で最後は「悪魔」と。
2人の部下の死亡
2人の部下も、普通に自らの手で殺害するなら、それはつまらないです。
それはそれで残酷だけど、意外とそういうのって残酷な表現にはならない。
自ら手をくださないで、間接的にくだすことで残酷さが、より引き立ちます。
より視聴者の心にグッと突き刺さりますね。
主人公の強さ(チート)
みんな大好きチート!
主人公の圧倒的な強さをどう表現してるかみてみます。
多数対1人
クライマックスの戦い。
まず圧倒的な強さをみせるなら、多数対1人の戦いですよね。大事な見せ場です。
もし、ここで仲間が戦いに加わっていたら台無し。
多数あつまってもかなわないのが、圧倒的な強さです。
超必殺技!
みんな大好き超必殺技!
強さのインパクトを出すなら、やっぱり超必殺技ですよね。『拡散魔力爆発』
爆発って、普通にインパクトでますからお得です。
ちなみにアバンでも『爆炎術式』という爆発のインパクトでひきつけてますが、クライマックスはさらに大きな爆発です。
こういうのってよく言われますが「1話は、初めツカミで面白く!そしてクライマックスにあがるほどもっと面白く!」と。
アバンで爆発なら、クライマックスでは超爆発と。大事ですね。
もし、クライマックスがアバンの爆発だったら、インパクトもいまいちです。
気になったところ
参謀本部たちの説明
こういう作品って、背景とか参謀本部たちの説明ってよくわかんないですよね。
ポカーン状態です。えっ?えっ?なんだって?状態。
1回聞いただけじゃ、わかりません。
まあ理解しなくても、主要な柱は理解できますけどね。
ラストのターニャの狂気にみちた歪んだ顔
ラストのターニャの顔はバシッ!と決まりました。
ここへのカットへの、構成の妙も決まってましたし。
でも、PVでこのカットは出てたので、ちょっとインパクトがダウンです。
先に知っててのカットなので残念です。作品中だけで見たかったですね。
なら、よりグッときたのに。
だったらPVは「騙しPV」でもよかったんじゃないかな~
抽象的なPVで、すごいターニャが妖精のようで、健気な感じで振る舞っているような感じ。
で、作品みた人はそのギャップで驚くと(笑)
そういうのでもよかったな。また、そっちの方が話題性も出るし。
あと、狂気に歪んだ顔ですけど、クライマックスの戦闘中もチラチラでてましたね。
そこがちょっと勿体ないなと思いました。
どうせ最後に落とすのだから、ここの戦闘中にはそういう顔を出さないで、最後だけ狂気にみちた歪んだ顔ならそこに印象が集約され、ドカーン!と残酷さが決まったんですけどね。勿体ない。
まとめ
今回の1話は残酷さ、またターニャのキャラクターを表現する回でした。
1話としては、十分期待の高まる回になってますね。
そして、ターニャの背景もすごく気になります。
ちなみに『幼女戦記』と『オーバーロード』の合同記者会見とかがあったようですね。
そういえば『オーバーロード』も「残酷系の主人公」ですか。
時代は、真面目な主人公は少し飽きてきた感じがあるんでしょうかね。
さて、次回はどんな残酷な展開をみせてくれるのでしょう。
もちろん「優しい主人公」なんて期待してませんから(笑)
それでは、また。
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幼女戦記の基本情報
【感想分析】1話「ラインの悪魔」/2話「プロローグ」/3話「神がそれを望まれる」/4話「キャンパス・ライフ」/5話「はじまりの大隊」/6話「狂気の幕開け」/6.5話「戦況報告」(総集編)/7話「フィヨルドの攻防」/8話「火の試練」/9話「前進準備」/10話「勝利への道」/11話「抵抗者」/12話(最終回)「勝利の使い方」/総括
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出典:カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会/アニメ『幼女戦記』(BS11 2017年1月10日放送)第1話