物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『幼女戦記』の第2話「プロローグ」の感想分析をします。
ちなみに原作は読んだことはありません。
※ネタバレあり
2話「プロローグ」あらすじ
帝国郊外の孤児院。ターニャは貧しい生活から抜け出すため、帝国軍への入隊を志願。魔導師としての適性を発揮し、士官学校へ進学する。その最後の研修として、北方のノルデン戦区上空にて、友軍による砲弾射撃の観測任務に就いていた。それは危険などない簡単な任務のはずだった。だが協商連合軍の越境侵犯を契機に帝国と協商連合が戦争状態に突入し、状況は一変。ターニャは敵魔導中隊の奇襲を受け、単独で交戦しなければならない事態に陥ってしまう。多勢に無勢で増援の到着まで持ちこたえられるわけもないが、逃げようものなら敵前逃亡で死罪は免れないという絶望的な状況のなか、ターニャは何としても生き延び、上層部に最善を尽くしたとアピールするため、とある作戦に打って出る。
「幼女戦記」公式サイトより引用
感想
なんだってー!幼女の正体は、おっさんサラリーマンだってー!
とビックリしたいところですが、1話後で軽くネットで検索してたら、ネタバレのタイトルがあって驚きは半減です…
タイトルでのネタバレはやめてほしいですね。
マナー違反です。ルール違反です。物事を円滑に、社会を円滑に進めるためにはルールが必要で、ルールがあるからこそ我々は人間であることが存在できる。であるからして…ルール大好きターニャなら、オシオキものですね(笑)
とまあ、冗談はともかく、戦争モノと思いきや、転生モノでしたというお話ですか。
「みんな大好き転生モノ!」ですからね。
転生であるから、お話に面白味がでてますね。おっさんが幼女という意外性。
またおっさんであるからこそ、全てがギャグにみえますし。
ラストのシーンのおっさんの羞恥に耐えて幼女を演じる姿は、けなげで可愛いです(笑)
やや舌足らずな言い回しがなんとも。
といっても転生モノは、ただ転生すれば面白くなるわけじゃなく、そこに意味がなければ台無しです。ありきたりなパターンです。
今回の作品だと、「幼女の皮をかぶった化物」というキャラクター。
それってある意味、「戦争」そのものを表現しているキャラクターでもありますね。
誰かがいってましたね。戦争中には「人間の皮をかぶった化物」がそこにいたと。
そういうシンボルであり、深みがあるからこそ意味ある設定ですね。
安易に面白いから幼女設定になっただけじゃないでしょう(まあ、後づけで意味をつけれるけど)。
そういったことで、よいキャラクターの背景だと思います。
インパクトもありますしね。
そして2話は、背景紹介回でもあると共に、「神との初めてのバトル」ともいえます。
ターニャの予想とは違う展開。バトル。そして最後の方のベットシーンや撮影は、あらがえない運命感が出ててる。
今後は、どんな神との戦いがあるのでしょうね。
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
完璧な主人公
完璧な主人公というのは、つまらないです。
やはり「弱点」がないと。
弱点というと、「幼女」であることが1つですかね。あとは主人公の目的が「出世して安定した生活をする」ということ。
その弱点があるから、面白くなります。
「幼女」であるから、ラストシーンのように羞恥に耐え、がんばる姿が面白かったり。
幼女であるから、部下に下にみられトラブル発生したりと。
話に膨らみが生まれます。
そして「出世」も弱点となりますね。
今回のバトルは、もしかしたらアッサリと勝てたのかもしれないですが、勝ちすぎると前線に送られる可能性があるので、ほどほどの勝ちにしてます。
目的もなく、ただ強いだけで全員倒すだけだと、ああそうですか状態ですからね。
出世目的だからこそ面白くなります。
よく完璧主人公はいますが、「目的」を何にするかによって全然違った話に。
戦争シンボル
先の感想でも述べましたが、「幼女の皮をかぶった化物」が戦争中の人を表しているものでもあり、作品に深みがましてますね。
他には、主人公は「ルール」が大好きですが、戦争というのは「ルールなんて無い」ようなものです。何が起こるかわからない。ルールなんて無視。それが戦争。
そんな中での主人公のルール信念の対比が、作品にさらに深みをましてます。
ちゃんと意味のある設定となっているから、グッときますね。
主人公(男)のキャラクター
アバンのおっさんサラリーマンのシーンで、キャラクターがきちんと説明されてますね。
電車にはねられそうになり死ぬという状況でも、冷静にリストラ男を分析したり、理解できない存在のミスターX(神?)と冷静にお話をしてますし。
だいぶ、ヤバい感は出てますね。自分でも語っていましたけど。
そしてルールルールと、ルール信念もきちんと語られますし。
しかし、「コンプレックスの塊」とも言ってましたが、何があるんですかねー
バトル
今回も、空中戦の激しいバトルがおこなわれていました。
それなりにインパクトのある戦いになってますね。
しかし、少しフワッとした印象を受けました。
「ターニャの凄さ感」があまり出てなかったなぁという点と、「相手の反応」が薄いかなという点。
「ターニャの凄さ感」は、まあ出てたといえば、出ていたのですが、なんかわかりにくい。
すごい技とか繰り出したりとかだったら、わかりやすいのだけど。
または相手が「なんだコイツは?」「動きが速い!」「何やってんだ!敵は1人だぞ!」とか、ターニャの凄さ感のでるセリフでも少しあればよかったんですけど、あまり相手のセリフもなかった。
そして「相手の反応」として、ターニャに対する印象や反応が薄い点。
リーダーのおっさんが、ターニャに対して少し反応のセリフがありましたけど、実際戦っている人の反応がない。普通だったら「幼女」という点でビックリしたり、幼女を殺すことに戸惑いがあっていいもの。
だけどそれがないので、リアリティがダウンですね。
まあ、尺がなかっただけかな?
原作とかは、そのへんとか書かれてるかも。
ボロボロ
1話もそうですけど、ボロボロになるのは良いですよね。
主人公の完璧さが消えるし、むしろ生々しさがでるし、戦争感でるし。
自爆して、右目が出血とか。ベットでは、顔汚れ、包帯グルグルと。
今後のボロボロ感も注目!(笑)
1話の参謀将校レルゲンの発言
2話では、メガネボーイの参謀将校レルゲンも登場していましたね。
1話の最後にレルゲンが「其れは、幼女の皮をかぶった化物」という発言をしていましたが、それはあのシーンからそう感じたということなのでしょうか?
それにしては、そう感じるには弱いシーンだなと思いました。
あれだと「化物」という表現にはならないかな~
それとも、その後に別の衝撃的な展開があって、そう思ったんですかね?
まとめ
1話は作品テイストとターニャのキャラクターの説明回で、2話はターニャの背景説明回。
説明は終わり、次回から本番なのでどう展開されるのか楽しみですね。
しかし、リストラされた男に殺された主人公ですか。
この点はある意味、問われていますね。
未来、ターニャも部下に殺されないことを祈ります。
そして、視聴者も問われていますね。
「おっさんだけど、それでも愛しますか?」と(笑)
それでは、また。
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幼女戦記の基本情報
【感想分析】1話「ラインの悪魔」/2話「プロローグ」/3話「神がそれを望まれる」/4話「キャンパス・ライフ」/5話「はじまりの大隊」/6話「狂気の幕開け」/6.5話「戦況報告」(総集編)/7話「フィヨルドの攻防」/8話「火の試練」/9話「前進準備」/10話「勝利への道」/11話「抵抗者」/12話(最終回)「勝利の使い方」/総括
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出典:カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会/アニメ『幼女戦記』(AbemaTV 2017年1月14日放送)第2話