物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作る手の視点」の感想を読むことで、作る手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『幼女戦記』の第3話「神がそれを望まれる」の感想分析をします。
ちなみに原作は読んだことはありません。
※ネタバレあり
3話「神がそれを望まれる」あらすじ
協商連合軍との初戦闘から数週間後。戦功を称えられたターニャは、極めて優秀な魔導士官として認められ、幼いながらも帝都の戦技教導隊に配属される。切望していた安全な後方勤務を手にいれたと、内心で喜びを爆発させるターニャであったが、配属先で待っていた任務は、危険な新型演算宝珠のテスト要員であった。検証を任された試作品の性能は極めて不安定で、テストは失敗ばかり。そのうえ主任技師であるシューゲルは、開発のためなら人的犠牲も厭わないマッドサイエンティストであり、テストの中止を訴えるターニャの進言にも全く耳を貸さず、安全性など度外視した実験を強行。ターニャは遂に命の危険を感じ、技術局の本部に転属願を提出する。
「幼女戦記」公式サイトより引用
感想
今回は、ターニャのパワーアップ回でしたね。
しかし、今回も「神(ミスターX)」が登場しましたか。
神が出すぎじゃないですかね?
前回2話に続き、今回もとなると出過ぎ感が…
まあ、ターニャ自身は、10年ぶりなんですけど。
なんかそういう存在って、あまり出すぎるとチープになったりしますからね。
しかも奇跡の力、「なんでもありな力」をもっているので、リアリティが弱まってファンタジー感が強まり、作品がご都合的に感じられる危険すらあります。
今回は、「特別な力」を与えられましたしね。
もし、今後も何度も出て、作用させることになると作品としてどうかな~と思います。
しかし「神に祈り」を唱えていたのは、そういう事情があったんですね。
個人的には、ちょっと残念な理由だったかな。
神に対して憎しみ、復讐心があるからこそ、あえて神に祈ってるのかなと思っていました。
そうだと深いキャラクターだったのですが、しかたない事情なので思ったよりキャラクターが浅くなりました。そこは、残念。
また、少し「ギャグテイスト」が気になるかも。
あんまり神が出過ぎで、なんじゃそりゃ的なオチが多いと、ギャグアニメになる危険すら。
けっこう紙一重なとこもありますからね。
まあ、そうならないことを祈ります。(あっ、祈ちゃった。笑)
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
説明回
今回は「ターニャがなぜ強いのか?」の説明回。
さっそく本筋がくるかと思いきや、2話に続き説明回だったので、少しお話全体の勢いがダウンしました。
またターニャは「受け身」な話だったので、そんなに盛り上がる話ではなかった。
神が出て来るなら、ターニャが「神との対決を決意する」といった積極性があれば勢いは出たのですが。
残酷感
今回はあまり「残酷感」がありませんでしたね。
そういう作品テイスト(だよね?)なら、そういう演出、シーンが欲しかったところ。
博士のシューゲルが、もっと狂気にみちたシーンとかセリフがあればよかったかも。
顔が怖い演出ぐらいでもいい。または他の助手が、博士を止めようとするとか。
そんな強調シーンが少しでもほしかった。
これだと、マッドサイエンティストといっても、なんか予想範囲内の博士という感じで弱いかな。
それとも私が思っているような残酷感じゃないのかな?ライトなのかな?
リアリティ
感想でのべたように、神が出過ぎるとリアリティが弱まり、ファンタジー色が強くなる。
今回の場合は、あえて神をターニャの前に直接的に出さないという方法もあります。
例えば、あきらかに絶対的な開発は無理という状況におちいり、理論は間違っていることに気づき、博士は絶望し、ターニャがウシシシ。で、1日で開発が成功して、ターニャが普通に飛べると。しかし、ターニャはあきらかにおかしいと感じる。で、博士は次の日に死亡(または発狂でもいい)。そこで、ターニャは神の仕業と気づく。自分の運命はどこか操られていると。
こんな感じで間接的な方がリアリティになり、心にはグッときます。
それにそれが確かかどうかわからないのも、謎となってミステリー感も増しますし。
まあ、でも作品的には今後も神をどんどん出したいのかな。
部下のヴィーシャのキャラクター
ヴィーシャは、餞別で洋服を贈っていましたけど、けっこうユルいですよね。
同期の仲間が殺されたようなものなのだけど、ターニャとけっこう仲良くしようとする。
そうなると彼女の考えてることが、キャラクターがイマイチわからない。
そこが視聴者を混乱させないか、少し気になります。
それとも、ただのお馬鹿さんキャラクター?
まあ、作品的にはいろいろと役割があり、なかなか扱いが難しいキャラクターかな。
テーマを押す
今回は神についてのテーマの回なのだけど、あちこちにテーマを押してるシーンがある。
ターニャとの神との直接的な関わりのシーン。
ターニャと博士との神についての会話シーン。
ヴィーシャの「神様っているんだな」のセリフ。
ラストの方の中尉との「神は常に我らと共に」のセリフ。
そういったところで、強調しテーマを強めていてよい。
そして、お話も強まってる。
まとめ
といった感じで、今回は少し気になる点が多かった。
全体的にも「説明的なシーン」が多く、あまり「遊びとなるシーン」も少なかったし。
尺の関係で、もしかしていろいろ原作の内容をカットしてるのかな。
それにしても個人的には、残酷感がバリバリな作品かと思っていたのだけど、どうなのだろう?
次回がやっと本筋が始まりそうで、これからなのだろうけど。
思ったよりライトな残酷感なのかな。
個人的には、バリバリな方が好みなのだけど、まあそれは方向性の違いだからね。
どっちが正しいわけでもないし。
ライトならライトでも作品としては、それはそれでいいのだけど。
まあ、まだ展開が読めないのでこれからですね。
面白い展開を期待します!
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【感想分析】1話「ラインの悪魔」/2話「プロローグ」/3話「神がそれを望まれる」/4話「キャンパス・ライフ」/5話「はじまりの大隊」/6話「狂気の幕開け」/6.5話「戦況報告」(総集編)/7話「フィヨルドの攻防」/8話「火の試練」/9話「前進準備」/10話「勝利への道」/11話「抵抗者」/12話(最終回)「勝利の使い方」/総括
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出典:カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会/アニメ『幼女戦記』(AbemaTV 2017年1月21日放送)第3話