物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『幼女戦記』の第5話「はじまりの大隊」の感想分析をします。
5話「はじまりの大隊」あらすじ
ターニャは軍大学を優秀な成績で卒業し、ゼートゥーアが立案した即応の航空魔導大隊を任されることになった。即応部隊の大隊長ともなれば、最前線での激戦は免れない。後方の安全な勤務を望むターニャは、どうにか部隊編成を遅らせようと、様々な策を弄して志願兵を不合格にする。だが本人の意に反して、ターニャの下には次々と兵士たちが集まってくる。おまけに参謀本部からは、大隊の編成を急げとの指示。もはや逃げ道のなくなったターニャは、内心で多くの脱落者が出ることを願いながら、志願兵を再教育するとの名目で、極寒のアルペン山脈における過酷な実地訓練を開始する。その頃、帝国南方に位置するダキア大公国に、大規模動員の兆しがあった。
「幼女戦記」公式サイトより引用
感想
さて、今回は「第203航空魔導大隊発足&勝利回」でした。
アクションがあり、パンチがあり、また幼女戦記らしさが出ていてよかったです。
やはり、アクションがあると盛り上がりますね。
隊員をビシバシビシバシと鍛えるシーンは、ターニャを表現するのに絶好の場面ですよね。
残忍さが出ていたと思います。
原作は、もっとガッツリやっているのかな?もっと恐ろしい訓練を…
そして訓練が終わりの挨拶で、「語り」が決まってました。
毎回すごい真面目に語っています。やるからには真面目なのか。
語り好きにも秘密があったりして。
で、ついに戦いが始まり、ダキア大公国の軍勢にあっさりボロ勝ちと。
いやいや、人多すぎだって。
あんなにワラワラいて、魔力持つのかなと心配しました。
そして何と言っても決まったのは、ラストの首都を襲う前のターニャの幼女宣言。
「せんせい!ぼくたち、わたしたちは、こくさいほうにのっとり、せいせいどうどうせんそうすることを、ちかいます!」
幼女ならではの鬼畜!まさに幼女戦記の真骨頂!
ちなみに最初の「せんせい」が「先生」に聞こえたのは私だけ?(笑)
でも、個人的にはその後のヴィーシャと隊員のセリフいらなかったけど。
説明的すぎで、また少しテンポが悪かったです。驚いた顔ぐらいでよかったんじゃないかな。
しかし、もし1話まるまる大隊発足までの話でしたら、イマイチだったろうな。
3話から、ややパンチの弱い話でしたので、ダレていたと思います。
OPとED無くしてまでの駆け足的な話でしたが、十分強くまとまっていました。
ところで、途中ターニャは誕生日をむかえましたね。
あれ?何歳だっけ。11歳?12歳?
もしや原作では、お誕生パーティーとかやったりするのかな。それは見てみたい(笑)
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
独白
ターニャがよく独白(頭の中の独り言)をしますけど、今回はあまりなかったですね。
それが見やすくなってました。
今回はターニャの視点が中心というより、隊員たちの視点が多かったですから。
独白は、けっこう難しいんですよね。
シーンの中であまりありすぎても、考えてる内容に面白みや、深みがないと単調なリズムになりますし。また、説明的すぎる場合もありますし、アニメでは時間を食ったりしますし。
引き立てるヴィーシャのキャラクター
今回のお話は、ヴィーシャが所々で活きてましたね。
嫌な予感したり、一人だけさっさとシャベルで穴ほって隠れたり。
ターニャをある程度理解しているヴィーシャと、理解してない隊員との対比がうまれて、面白みがでてます。
構成
特別な大隊を発足したのだから、もちろん最初は大勝利でないといけないですね。
でないと盛り上がりません。
いきなり、中途半端な勝ちとか、負けだとシラケるでしょう。
そして、始めの勝利だけで終わりより、派手な終わりでないといけません。
もちろん超爆発ですね!
というか、毎回爆発だな幼女戦記は(笑)
専門知識
専門知識は、お話に彩りを与えます。
ダキア大公国の軍勢に圧勝したのですが、その原因は相手が一世代前の戦いをしていたからでした。実際の戦争でもありそうな専門的な話。日本でいうと戦国時代に銃に対し剣で戦った話ですかね。
まあ、第二次世界大戦で、長剣やロングボウで戦ったお方もいることですし。
そして、相手が固まって銃をうつとか、それにビビる仲間の隊員とかにも専門制がありましたね。
そういう味付けが面白みを作ります。
気になった点
参謀将校レルゲンとの緊張の会話
参謀将校レルゲンとターニャが会話したシーンですが、なんか無駄に緊張感が漂っていました。
ターニャを嫌っているレルゲンがそうなのはわかるけど、ターニャも妙に緊張感があると。
しかし、内容がそれほど緊張感いらない会話だったので、違和感を感じました。
恐怖
雪崩の後に、隊員たちがターニャに恐怖を覚え、すごいやる気になるのですが、恐怖の説得力が弱かった気がします。
また演出もアッサリでしたし。
幼女戦記は、あまり演出とかしないですね。顔がすごい怖い感じの画とかの。
そういう画嫌いなのかな?
隊員のキャラクター表現
さくさく話が進んだので、あまり隊員のキャラクターの表現はされませんでしたね。
今後も活躍するなら、もっとキャラクターを表現するべきなのですが。
まあ、長生きする隊員は少ないのかな…
ターニャの予想が外れる
このお話のパターンとしては、ターニャは意図して何かを狙うのですが、予想が外れます。
「どうしてこうなった…」と。
それはそれでよいのですが、毎話そのパターンとなってしまっているので、少し単調な感じもあります。
今回もそのパターンで、厳しい訓練をすることで脱落者を多く出し、大隊の話をなくそうとしましたけど失敗と。
しかし、今回の場合は自分の意図の直接的な解説がなかったので、少しは単調さは消してはいますけどね。
1話完結
幼女戦記は5話まで、「1話完結」でお話が進んでいます。
それはそれでよいのですが、1話完結だとドッシリとしたパンチが弱くなってしまう。
2話分、また3話分くらいで、1つのお話がされるとかないと、物語全体の印象が弱くなる危険が。
ラストは、そういう展開になると思いますが、この後に1つくらいそういうまとまった話がないと全体の印象が少し弱く終わるかもしれませんね。
まとめ
大隊が発足して、ついに始まった感じがしますね。
ここまでが長かった(笑)
次回からは、アクションも交え進んでいくのでしょう。
ここからが本領発揮ですね。
まあ、アクションやればいいってわけじゃないですけど、幼女戦記らしい展開を期待します。
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幼女戦記の基本情報
【感想分析】1話「ラインの悪魔」/2話「プロローグ」/3話「神がそれを望まれる」/4話「キャンパス・ライフ」/5話「はじまりの大隊」/6話「狂気の幕開け」/6.5話「戦況報告」(総集編)/7話「フィヨルドの攻防」/8話「火の試練」/9話「前進準備」/10話「勝利への道」/11話「抵抗者」/12話(最終回)「勝利の使い方」/総括
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出典:カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会/アニメ『幼女戦記』(AbemaTV 2017年2月4日放送)第5話