物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
テーマは「修正(リライト)」についてのお話。
※ネタバレあり
今回は、アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』の、放送版と再放送版(修正版)の第3話を比較します。
(公式では、修正版を「パッケージリテイク版」と呼んでいます)
ちなみに、AbemaTVで放送されたという、1話と2話の修正版は見ていないので、3話だけ。
(なんで、BS局で流さないんだよ!中途半端だな…)
比較といいましても、細かい部分がどう変わったとかではなく、「放送版の問題のあった部分が、どう良くなったのか」という点について、検証したいと思います。
放送版の記事を先に読んでいただくと、面白く読めます。
【感想分析】アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』第3話を視る!
『BanG Dream!(バンドリ)』の基本情報
アニメ公式サイトはこちら
3話「逃げちゃった!」あらすじ
昼ご飯を一緒に食べることを交換条件に、有咲から念願のランダムスターを譲り受けることができた香澄は、ライブハウスで見かけた同じクラスのりみをバンドに誘う。 りみは人気ガールズバンド「Glitter*Green」のギターボーカルであるゆりを姉にもち、そんな姉に憧れる少女。しかし、引っ込み思案で姉のように積極的になれないりみは「やっぱり、バンドできない……」と香澄を避けて逃げしまう。
修正されてどうなったのか
それでは、修正された点を視ていきたいと思います。
※以下、初めて放送されたものを「放送版」、再放送のパッケージリテイク版を「修正版」と呼びます。
教室で1人、牛込りみが泣く
牛込りみが、パン屋の前で香澄に待ち伏せをくらい、話をして涙する。
そして夕方、教室で1人きりのりみ。
そこで、机の中に入っていた香澄の「ごめんね」のメモをみる。
放送版では、この時に後ろ姿の引きのアングルで、泣いているような声がする。
しかし、修正版では、この声をカット。
パン屋の前で強く泣いて、続けてすぐ次のシーンで泣くのはやり過ぎ。しつこいです。
牛込りみの印象が、面倒くさくて少しウザい感じになる危険があります。
でも、声をカットしたことで、そういう印象を消してます。
グリグリが間に合わなければいけない理由
放修学旅行で、グリグリの帰りの飛行機が遅れ、ライブに間に合わなくなります。
そして、緊張感が漂い、他のバンドがフォローしたり、香澄達が間に合わせようと奮闘します。
しかし、放送版では、絶対にその日にライブに出なければいけない理由(動機)が特にないので、香澄達の行動に説得力がありませんでした。
まあ、よく出てそうなんだから、そういう事情なら1日ぐらい休んでも別にいいんじゃね?となります。
なので、ただストーリーのために、無理やりキャラクターを動かした不自然な感じに。
牛込りみに勇気を出させるために、とってつけたストーリーに。
そして、修正版では動機が追加。
オーナーの「ダメ!何があろうと、お客さんを待たせるのはダメ」の後に、「穴をあけたら、2度とウチの敷居はまたがせないよ」のセリフが追加されました。
「出入り禁止」という、強い動機が追加されました(イヤイヤ、厳しすぎじゃね!笑)
強い動機なので、他のバンドがフォローする姿や、香澄や牛込りみが頑張ろうとする行動に説得力がうまれました。
この一言があるのと無いでは、全然違いますね。
香澄の考えていること
他のバンドがフォローしたけど、グリグリは間に合わず、ライブは終わり。
楽屋で、ボーゼンとする香澄達3人。
放送版では、そこから香澄が無言でステージへ。
しかし、修正版では、楽屋で「なんとかしなくちゃ」と香澄が独白でいい、ステージへ行くように修正されてます。
バンドリの始めの方の大きな問題として、「香澄の考えていることの説明が少なすぎる」という問題がありました。
なので、視聴者は香澄の考えていることがわからず、どういう人間かわからず混乱。
そのため、視聴者にいろんな誤解をうみ、大きな失敗をしています。
放送版では、「ライブで歌ったのは、自分がただ歌いたいからステージに上がっただけじゃね?」
という見方もできてしまうので、不味い点でした。
普通はそう見えないのですが、1話からの自己中心的な性格にも見える流れから、そのように見える危険が。
修正版では、一言ですが香澄の気持ちが明確に説明されているので、「グリグリのために頑張ろうとしてるんだ」となります。
ちょっとしたことですが、これによって香澄のキャラクターが正しい方向へ表現されていってます。
キラキラ星のループライブ
不評の大きなキッカケとなった、キラキラ星のループライブシーン。
さすがに、ここは修正しましたか。
放送版では、長かった香澄と有咲のキラキラ星の歌でしたが、修正版ではだいぶカットしてスリムに。
また、グリグリが向かっているシーンをはさんで、間をとったりしています。
その他、細かいところで微修正と。
なので、変な違和感なく、普通に見れる流れになっています。
視聴者に何も突っ込まれない形に。
少し気になるのは、牛込りみが唐突にベースを持っているようにみえるのが変だけど。
あと、あいかわずステージに勝手にあがって、オーナーが何も言わないのも変だけど(笑)
しかし、修正をしたら、このシーンのインパクトがなくなりました。
もちろん、短くしたので、キラキラ星のインパクトは減少。
また、有咲の面白い反応がほとんどなくなったので、つまらなくなりました。
冷静に考えてみると、このシーンがおかしいというより、1話からの香澄のキャラクター表現がうまくいってなかったから、強く変に見えたというのがあるのでしょうね。
また、先の「どうしてもグリグリを間に合わせなければいけない理由」がなかったので、ストーリーの不自然さもあわせて。
なので、短くした修正は普通になりすぎて、だいぶ残念ですね。
やりきってほしかった(笑)
まとめ
といった感じで、問題のあったところが修正されています。
放送版とは違い、普通に面白い作品となっています。
ちなみに、他のシーンもチョコチョコ修正されているようですね。
例えば、登校時に生徒会長にギターを没収される軽いシーンも修正されたりしてます。
気合入れて修正されてます。
プロがそろそろ本気を出したのでしょうか。
それとも、上の方が反省し、アニメ製作会社に予算がだいぶついたのでしょうか(笑)
皮肉はともかく、このぐらいの修正だと、他の回の問題もだいぶ解消されるかもしれません。
円盤のBlu-rayの内容は、だいぶ良くなりそうですね。
それでは、放送版と再放送(修正版)の比較でした。
『BanG Dream!(バンドリ)』の関連記事はこちら
バンドリ基本情報
【作品分析(全話)】
1話「出会っちゃった!」/2話「やっちゃった!」/3話「逃げちゃった!」/4話「怒っちゃった!」/5話「ドキドキしちゃった!」/6話「作っちゃった!」/7話「ケンカしちゃった!」/8話「走っちゃった!」/特BanG!「3rd LIVE」/9話「バイトしちゃった!」/10話「驚いちゃった!」/11話「歌えなくなっちゃった!」/12話「キラキラしちゃった!?」/第13話「歌っちゃった!」(最終回)/総括/OVA「遊んじゃった!」
【作品分析(1テーマ)】
バンドリのアニメ版(1話)と漫画版の比較/バンドリのアニメ版(2話)と漫画版の比較
バンドリのアニメ版と小説版の比較
バンドリの放送版(3話)とパッケージリテイク版の比較
Amazon「BanG Dream!(バンドリ)」グッズ情報
出典:
BanG Dream! Project/アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』(BS11 2017年2月7日放送)第3話
BanG Dream! Project/アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』(BS11 2017年4月17日放送)第3話(再放送)