物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
今回は、アニメ『コメット・ルシファー』をとりあげます。
テーマは「ライバルの対比」についてのお話。
※ネタバレあり
「TVアニメ『コメット・ルシファー』オリジナルサウンドトラック」
『コメット・ルシファー』あらすじ
鉱石好きの少年ソウゴ・アマギは、今日も鉱山跡で石を採掘していた。その時、不思議な色をしたギフトジウム原石を見つける。意気揚々と街に戻ったソウゴだったが、友人のカオンとロマンのケンカに巻き込まれ、地下深くにある地底湖の洞窟に迷い込んでしまう。恐る恐る洞窟の奥へと進むソウゴとカオン。するとそこには、巨大なギフトジウム原石が鎮座し……次の瞬間、2人が目にした驚きの光景とは――!?
今回のテーマ「ライバルの対比」
コメット・ルシファーの問題の一つは「ライバルがつまらない」ということ。
ライバルとは、主人公と対比しているもの。
主人公があることを肯定してるなら、ライバルをそれを否定する。
それによって、お互いの信念がぶつかり合い、主人公の方が強くなったり、主人公の思ってることが完全否定されたりと、いろんな動きが起こります。
そのようにして、物語は強く面白くなっていく。
コメット・ルシファーの場合だと、ライバルは、敵の軍にいるガス。
そして、主人公の「守るために戦う!」に対し、ライバルは「守るものもなく、ただの戦闘狂」という対比。
一応、対比となっているが、つまらない。
戦闘狂というのは、だいぶ古いタイプのライバル。昭和のアニメみたい。
昔の昭和アニメのバトルものというと、ライバルの悪は特別な信念もなく、「ただ世界征服を目指している!」という浅い設定が多かった。ある意味、戦闘狂といえるけど。
よく意味もわからず、とにかく世界征服を目指す敵。
それに対し、主人公側は「とにかく人のため、正義のために戦う!」みたいな感じ。
そのような形でも、始めの頃は視聴者もそれで満足していたけど、そのワンパターンな感じに視聴者は飽きた。
その反省から、時代を経て、現代はライバルの戦う理由に深みを出すために工夫をしている。
世界の平和のために主人公とは違った考えで戦ったり、本当はたった一人のために戦っていたり。
しかし、コメット・ルシファーは、昭和アニメと同じ。
ライバルが世界征服!といって戦っているのと変わらない。時代は逆戻り。
幼稚なライバルすぎて、お話はチープな雰囲気になっている。
例えば、「実は守るものが昔はあったけど、守ることができず、戦闘狂になった」という事情があれば、少しは深みは増したのだけど。
それだと、ドモンと少しかぶるか…
なら、「過去に、守るものを得る機会があったのだけど、彼は逃してしまい、戦闘狂になった」という事情とかかな。
そういう形なら、まだお話に深みが増しました。
まあ、ライバルキャラクターだけでなく、全体的なキャラクターが浅すぎるのだけど。
素人が考えたキャラクターみたいでビックリします。
この作品をみてると、キャラクターをつくることの大切さを教えてくれますね。
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出典:Project Felia/「コメット・ルシファー」製作委員会