物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
今回は、アニメ『コメット・ルシファー』をとりあげます。
テーマは「途中で変身するキャラクター」についてのお話。
※ネタバレあり
「TVアニメ『コメット・ルシファー』オリジナルサウンドトラック」
『コメット・ルシファー』あらすじ
鉱石好きの少年ソウゴ・アマギは、今日も鉱山跡で石を採掘していた。その時、不思議な色をしたギフトジウム原石を見つける。意気揚々と街に戻ったソウゴだったが、友人のカオンとロマンのケンカに巻き込まれ、地下深くにある地底湖の洞窟に迷い込んでしまう。恐る恐る洞窟の奥へと進むソウゴとカオン。するとそこには、巨大なギフトジウム原石が鎮座し……次の瞬間、2人が目にした驚きの光景とは――!?
今回のテーマ「途中で変身するキャラクター」
コメット・ルシファーのヒロインのフェリアは、始めは子供だったのに、5話のラストで突然、大人へと変身する。
理由は、特別な力を使いすぎてしまって大人になってしまったとか、わけのわからない設定。
一部の視聴者は、これにスゴイがっかりしたし、一部の視聴者は大人になり魅力的な彼女に歓喜したよう。
途中でキャラクターが変身することが正しいのか、正しくないかというと、どっちでも無いです。
物語の内容によるといえる。
変身することに、きちんと物語上の意味があれば、それはそれで問題ない。
そして、きちんと効果があれば!
しかし、コメット・ルシファーの場合は、あんまり意味があるように思えない。
ただ、「主人公と恋愛をさせたかった」から、都合よく大人に変身させたように見える。
そして、それほど効果があったと思えない。
なので、微妙に失敗している。
例えば、主人公の成長によって、そのシンボルとして大人に変身するということなら、多少は意味があるけど、そういう風にも見えないし。
または、フェリアの愛が成長したことで、大人になったという意味が込められているなら、意味があるけど、そういう風に見えないし。
ただ都合よく、そうしただけに見えるので、いまいちスッキリしない。
また、大人になるのが、唐突すぎたというのも問題かな。
やるなら、出会った時に4歳くらいで、途中で10歳くらいになり、そして16歳くらいの大人になる。
そういった段階をふめば、視聴者もまんべんなく納得したと思う。
あとは、大人になった理由が、意味不明なところも問題。
特別な力を使いすぎてしまって大人になってしまったとか、なんだそれ?
アホみたいな理由だったので、それによって変身したこと自体がアホみたいに見えたのも不味い。
さらに、大人へ変身といっても、「彼女はいったい何歳になったのだ?」という曖昧さもあったのが問題だったかな。
けっこうガッシリした体型だったからな…
見ようには、20代ともいえるし、30代ともいえるし、下手したら40…
そうなると、主人公は16歳ぐらいだったと思うけど、恋愛というより、大人の女性に憧れているという感じにもなってしまう。
または、主人公は小さい頃に母を亡くしているので、ヒロインに母親の姿を見ているともいえるし。そうなると、恋愛とは少しズレる。
(まあ、彼女は星そのもので、シンボル的に母ともいえるけど…)
しかし、キービジュアルとしてのヒロインの姿があって、それを可愛いと思って見てる視聴者がけっこういると思うので、やはりリスクのあるやり方ですね。
大きな効果が見えないと、途中で変身させるのは辞めた方がいいと思います。
ちなみに、いつでも大人になったり、子供になったりできるケースは、あまり問題ないです。
逆に、ふた粒美味しいという感じになるんですかね。
とにかく、そういうことを挑戦するのはいいけど、挑戦するからこそ、もっといろんなことを考えないといけないです。
それが足りない作品でした。
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出典:Project Felia/「コメット・ルシファー」製作委員会