物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『活撃 刀剣乱舞』の第8話「歴史を守る」の感想分析をします。
ちなみにゲームはやっていないが、花丸はみてます。
※ネタバレあり
8話「歴史を守る」あらすじ
正体不明の辻斬りを討伐した第一部隊は本丸へ帰還せず、時間遡行軍による襲撃に巻き込まれた人々のために出来ることをしようと京に残る。
それは、任務の中で守れなかった歴史や犠牲になった人々の助けになりたいという、山姥切たちがたどり着いた想いだった。
そのころ、歴史を守ることの意味を考え続けていた和泉守は、主からの命では無く自らの意志で、第二部隊の刀剣男士へ再び共に戦ってほしいと声を掛けていく。
そして審神者から伝えられる新たな任務に、第二部隊は想いを新たに出陣する。
感想
さて、前回は激しいバトルを繰り広げた後なので、ゆるめの回。
そして、テーマ回ともいえるのかな。「歴史を守る」を考えるテーマ回。
第一部隊は、まだ任務があるのかと思いきや、炊き出しのボランディアを開始という意外な展開。
真面目なシーンなんだけど、なんともシュールなシーンとなっています(笑)
まあ、シュールさを感じるのは、服装が豪華すぎて違和感があるせいなんだけど、そこはどうしようもないか。
そしてタイトル通りに「歴史を守る」ことについて考えるという内容が前面に。
新人の骨喰藤四郎が疑問に思い、歴史を守ることについて考える。
一方、和泉守兼定も歴史を守ることについて思い悩んでいると。
2つの展開がリンクして、「歴史を守る」ことについて強調するという面白い構成となってますね。
第一部隊の答えは「自分たちのできることをする」といった感じですが、それは兼定の答えとは限らない。今後の話では、兼定自身の答えを出すかもしれないですね。
でも、ただ同じだったら「うーん…」となるかも。
で、本丸側のお話は、ちょっとノンビリしつつも緊張感のある話。
兼定がお願いしてまわり、第二部隊の結束をたかめるという流れ。
本丸を紹介しつつというのが憎い演出です。
そして、引っ掻き回し役の陸奥守吉行が活きてましたね。いらない子と思わせつつと。
オチの気合が入りまくったエビ反りが気に入ってます(笑)
ちなみに、陸奥守吉行にお願いする時に「海の中でオマエがいなかったオレは死んでいた」といいますが、沈んだ時にすぐワープしたので陸奥守が助けなくても大丈夫だったのでは?と思いました。
まあ、アニメ的にはすぐに見えたのかもしれないですが、リアルタイムでは少し時間があったのかな。助けてから甲板にあげ、人工呼吸…ゴホゴホッ
といた感じで全体的には地味な話ではありますが、細かい工夫があちこちに散りばめてあって面白い話になっています。さすがにプロの技だなという感じですね。
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
テーマの表現
今回はテーマを強く表現した回でした。
第一部隊はさらなる任務があるのかと思いきや、被害にあった人々に対し炊き出しをする。
それに対し、新人の骨喰藤四郎は「だからってこんなの自己満足…欺瞞でしかない」といった感じで、他の第一部隊と意見の対立。
そして、骨喰藤四郎は「歴史を守る」について考える。
一方、和泉守兼定も「歴史を守る」ことについて1人思い悩む。
第一部隊側と第二部隊側が並列してテーマについて考えることで、テーマが強調されて表現されています。
また、骨喰藤四郎が悩んでいるところが、まるで兼定が悩んでいるように見えるのが面白い。
ただ兼定が1人うんうんうなってテーマを考えている様子をみるより、わかりやすい表現ですね。
山姥切が骨喰藤四郎に語る
骨喰藤四郎が第一部隊のボランディアの行動に対し疑問を抱く。
その時に、大御所の三日月宗近が答えるのでなく、隊長・山姥切が答えるのが良いですね。
隊長としての貫禄をみせつけてくれますし、また第二部隊隊長・和泉守兼定と対比となりテーマが締まってます。
和泉守兼定のお願い参り
兼定が、みんなに第二部隊で戦ってくれるようにお願いをしていく。
段階的に兼定の決意をひしひしと感じれます。
そして、最後の陸奥守吉行オチは良いですね。アレ、陸奥守は?と視聴者に疑問を残しつつオチへともっていく。ただ普通にラストに陸奥守にお願いするより、面白くまたキャラクターが表現されつつ決まっています。
また、ついでに本丸の紹介をしてるのも良いですね。
馬小屋、洗濯場、畑と、「花丸」でみていたシーンなので懐かしさもありますし、背景の説明で世界観を深めてます。
ちなみに、薬研藤四郎の馬小屋から洗濯場への持っていき方の流れは自然で良いですね。
場所を変えたのは、洗濯場をみせたいのもありつつ、真面目な話をするのに良い背景だったからでしょう。
さらに、畑で燭台切光忠と大倶利伽羅が登場したのは良いアクセントでしたね。
展開に小さい変化を生んでいます。
驚きネタ
第二部隊が結束し、主に直訴にいこうかという話の時に、鶴丸国永の「いいな、主驚くぞ」というセリフ。
驚きネタは休みなく継続中です(笑)
大福オチ
陸奥守吉行が蜻蛉切に見舞いの品として大福をおいていくが、他のみんなも大福をおくっているというオチ。
ギャグのオチというより「みんなが同じことを考えている」という表現のシーンですね。
このシーンがなくてもストーリーは成立しますが、このシーンがあることで第二部隊の結束がより強く感じられます。
細かいシーンですが、こういうシーン大事ですね。
おわり
ちなみに、8話が演出家の発言で炎上してますね。
さすがにあの発言は酷い…
そういう意図があったとしても、言うべきじゃないこと。
まあ、薬研の馬のシーンは何となく狙ってんなとは思っていましたけど。
特に、子供も見るかもしれない作品なので、それはね。
そんな作品とは関係ないとこでガッカリなこともありつつ、次回また。
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【作品分析(全話)】1話「出陣」/2話「部隊長」/3話「主の命」/4話「守りたかったもの」/5話「戦火」/6話「本丸」/7話「第一部隊」/8話「歴史を守る」/9話「元の主」/10話「忠義の向かう先」/11話「鉄の掟」/12話「函館戦争」/13話「活撃」(最終回)/全話(総括)
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出典:Nitroplus・DMM GAMES/「活撃 刀剣乱舞」制作委員会(BS11 2017年8月20日放送)第8話