物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
今回は、アニメ『異世界はスマートフォンとともに。』をとりあげます。
テーマは「4コマ漫画テイスト」についてのお話。
※ネタバレあり
「異世界はスマートフォンとともに。blu-ray vol.1」
『異世界はスマートフォンとともに。』あらすじ
神様の手違いにより死んでしまった冬夜は、なんと異世界に転生することに!?そこで出会った双子の姉妹エルゼとリンゼ、そして神様に異世界でも使えるようにしてもらったスマートフォンと共に異世界ライフを始めることに…。神様パワーで身体能力UPに魔法の才能まで手に入れバージョンアップした冬夜は、超便利なスマホを駆使して魔獣討伐をしたり、アイスを異世界に生み出しちゃったり、と異世界ライフを満喫し始める。果たして、冬夜の新しい人生やいかに!?
感想
小説投稿サイト「小説家になろう」からのアニメ化作品。
「累計1億PV超の大人気作品!」というから、どのような凄いアニメかと思いきや、「なんじゃこりゃ~!」という感想(笑)
まず目についたのは、作画。
OPから、やる気のない作画でしたね。こんなアッサリした動きのアニメを久しぶりに見たわ。
そして、本編もアッサリした作画。まあ、そういう絵のテイストといえば、それはそれでいいのだけど。ゆるい展開だから、それにあったテイストとして。
で、ストーリーといえば、みんな大好き「チート異世界ハーレムもの」。
主人公は、オールマイティーなスキルで最強。なんの努力も苦労もなく敵には勝ちますし、アッサリと特殊能力で問題を解決します。
バトルの面白さがねー!
まあ、スマホを活用したアイデアは面白いと思いますが。ありそうで無さそうなアイデアで、良いです。
で、もちろんハーレムなので、モテモテです。
みんなアッサリ好きになります。あんまり努力もなしで。というか、ほぼチートスキルのおかげ。
まあ、毎回のように好き!好き!好き!ラッキースケベ!ラッキースケベ!といった、しつこい系のハーレムでないのでまだいいですが。
そして、やっぱり気になるのは、特にそんなに強く感情も動きません。
主人公はたいして困らないし、それほど葛藤もありません。他のキャラクターも、それほど強く感情も動きません。けっこう平坦です。まあ、恋愛部分で、クライマックスに少しあったぐらいだけど。また、ストーリーでおこる事件も、困っている人はそれほど強い感情もでません。困っても、すぐ解決するので何の葛藤もありません。オチもあっさりです。
ラノベといえば、強い感情がない、葛藤がないと揶揄されますけど、ここまで無いのは珍しい。むしろ、清々しい?
といった感じで、主に悪い部分をあげてますが、なんだかんだ次々と見れてしまいます。なんだかんだ最後までみれてしまいます。アマチュアが作ったRPGのフリーゲームみたいに見れてしまいます。
そこが、この作品の不思議なところなのでしょう。1億PVも伊達じゃないのでしょう。
で、その秘密として、次の分析です。
分析
そして、今回のテーマの「4コマ漫画テイスト」です。
考えてみて、この作品は結局「4コマ漫画」なのでしょう。
ストーリーものではなく、4コマ漫画。
だから、こんなにキャラクターに強い感情や葛藤がなくても、たいしたストーリー性がなくても、なんとなく見れてしまいます。
4コマ漫画にそんなものは無くても成立しますし。
また、あの淡々とした流れというのは、4コマ漫画で感じる流れですし。
ストーリーでも、途中で途中でよく切れていたので、まさに4コマ漫画。
4コマに必要なのは、その「4コマの間に面白みがあるかどうか」だけですから。
逆にいうと、その4コマの間に面白みを出せているから、退屈せずに見れますし、なんか知らないけど最後まで見てしまうという魅力があるのでしょう。
そこが作者のウリなのかな。簡単にみえて、できそうでできない。
考えてみると小説で、4コマ漫画を表現するというのは面白いですね。
意図してやったのか、たまたま自然にそうなったのか。
しかし、この作品はある意味、小説家を目指している人に大きな影響を与えるのではないのでしょうか。
このぐらいでもアニメ化になるということでなく、長編を書く力がなくても、4コマ漫画を書く力があれば小説が書けるという意味で。
長編ストーリーを面白く書くのは難しく大変ですが、4コマ漫画くらいのストーリーなら誰でも書こうと思えば書ける文量ですからね。
「小説で4コマ漫画テイスト」…新しいジャンルが産まれました!?
TVアニメ「異世界はスマートフォンとともに。」vol.1【Blu-ray】
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2017/09/20
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (1件) を見る