S.T.Cの制作探求クラブ

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【感想分析】アニメ『覆面系ノイズ』第6話を視る!

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物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『覆面系ノイズ』の第6話「今日も明日も、歩く」の感想分析をします。

ちなみに、原作の漫画は読んでいません。
※ネタバレあり

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6話「今日も明日も、歩く」あらすじ

「あの5分間、どう歌ったのか殆ど思い出せない…」衝撃的なテレビ出演を果たしたイノハリ。世間の反響に喜ぶメンバー達だったが、ニノの元にモモのマネージャー、月果から電話が。月果に呼ばれた先で、ニノはモモのギターを受け取る。自分の歌はモモにも届いたのだ…その証とも言えるギターを手にしたニノは、「カナリヤ」のフレーズを練習し始める。一方、ニノを中心に結束を固めていくイノハリを目の当たりにした深桜は…。

「覆面系ノイズ」公式サイトより引用

感想

さて、今回は「ニノとミオウの友情」回。

イノハリの成功で、ミオウはなんともいえない気持ち。そして、ニノに本音をぶちかまし、ユズをあきらめそうになり、ニノとぶつかり合うと。
お互いの友情が、また一歩大きく進んだお話でした。

この展開は、どこか3話でミオウとニノがぶつかる感じと似てますね。
1話で新歓ライブして、すぐ後でミオウとニノがぶつかる(間の2話の子供時代の話は、抜かして考える)。
5話でイノハリライブをして、今回のミオウとニノがぶつかる。
この「ライブの後にぶつかる」という点も似てますね。

1話の新歓ライブと5話のイノハリライブは、前フリとオチみたいに繋がっているシーンとなっています。
今回のミオウ話も、3話の前フリがあって今回のオチみたいに繋がっている感じにみえる。
繋がりを活かした展開ともいえます。イイですね。

また、ニノのストーリーとしては、久瀬ねえさんからモモの「ギター」をゲットし、ギターをユズから習うという展開。
そして、ミオウのストーリーでは、ユズから誕生日プレゼントでもらった「ピアス」をからめた展開。
ギターとピアスが、「好きな人からもらった大切なもの」として対比となっています(まあ、ニノは本人からもらったわけじゃないけど)。
この対比があるから、面白くなっていますね。

さらに、お互い「ヤキモチしている」という点でも、わかりやすい流れとなっていますし。
いろんなものが重なりあっての回となっている。

なんとも構成に工夫のあるお話ですね。

ちなみに、イノハリのユズの変装の違和感は、誰も気づかなかったのだろうか?
あれ、ちっちゃくね?と(笑)

分析

それでは、技術的なポイントを視ていきます。

相手の言葉をそのまま信じない

ニノは、モモが「オマエの歌は金にならない」といった言葉を、そのまま間にうけないで、この6年間に何かあったのだろうと考えます。

しかし、ベタな恋愛モノだったら、ニノがその言葉を間にうけ、怒り心頭といった感情のままストーリーの展開がなされていって、後々になってその言葉は嘘だった!みたいなバレる感じになります。
なので、そんな感じになるのかな~と思っていたところを裏切られました。
ニノはそんな風に思わないし、久瀬ねえさんが軽くバラします。

たしかにベタにやったら楽ですよね。
普通に盛り上がるし、お話をだらーと長く伸ばせるし。
でも、それをやらないで、どんどん展開を作ると。

よく考えると、ベタな展開って単調になってしまいますし。
それが悪いわけじゃないけど、表現にもよるけど、ちょっと見飽きた感じもあります。
作者は意図的に外してるんでしょうね。
以前に解説した「謎」の使い方もそうですけど、ベタな展開にならないようにしてますね。

ギターをもらう

ギターをもらうという流れは、意外性がありましたね。
こんな流れをよく思いついたなと思いました。

テレビでイノハリをみて、ボケーとして足元のギターにコーヒーこぼし、傷ついて、いらなくなり、久瀬ねえさんがニノに渡すと。

普通ですと、モモがショック!だけで終わるところですが、そのギターをさらに利用して、お話が生まれていっている。ニノがギターもらって嬉しい!とか、ユズしっと!とか、モモなんだってー!とか、ニノと久瀬ねえさんの関連性とか、このギターの傷は…とか。
さらに、今後の展開でギターは何か起こすかもしれませんね。

1シーンをただ1シーンで終わらせず、繋がりを生んでいる1シーンとなっていてイイです。
もちろん、狙ったシーンなのだろうけど。

ミオウの気持ちの表現

ミオウが浜辺で「どこ行ってもニノばっかり」という。

この一言で、ミオウの気持ちが全部あらわれています。
この嫉妬の気持ちから逃げたいけど、逃げれない。ニノが強すぎて、ユズへの気持ちがあきらめそうになる。そんな気持ちが。
直接的な気持ちのセリフでなく、関節的なセリフだから深みを感じますよね。

そして、そのセリフを強調するために、イノハリが成功しモブ達がイノハリのウワサをしている場面がありましたね。そして、浜辺に逃げるけど、ニノがいると。
これらが前フリとなって、セリフが決まります。

ニノのキャラクター

ミオウに「おかしいんだよ、ニノは!」といわれ、自分が変だと自覚していることを叫ぶニノ。
ただの変な子じゃなくてよかったです(笑)

1話で、6年間も歌い続けるとは、なんてメルヘンな女の子なんだと思いました。
あんまりにもリアリティないですからね。
また、ファンタジーすぎると、視聴者はニノに共感しにくくなり問題です。

しかし、2話の幼少期に挫折し、歌うことやめようとした場面があり、そこでニノにリアリティを出してました。
ただのメルヘンな子でなく、そういうことを思える現実をそなえた子なんだと。

だけど、そういう場面はあったけど、やはり6年間歌い続けるのはメルヘンすぎる。
そこへ、今回のニノの告白で、より現実味のあるキャラクターとなりました。
ニノのリアリティがグッ!と増しました。

段階的にキャラクターにリアリティを追加していくというのは、面白いやり方ですね。

つなげ役の久瀬ねえさん

現状、ニノとモモは距離が遠い。

一緒の学校にいるけど、ニノは知らない。
そんなに触れ合う機会がない、会う機会がない。
そうなると、二人の物語が展開していくのは辛くなっていきます。
距離が遠すぎると、お話は生まれにくいですから。

そこで、久瀬ねえさん!
久瀬ねえさんという間をとりもつキャラクターがいることで、2人のお話が展開されるようになっていきます。
離れている距離をうめてくれます。

久瀬ねえさんの役回りはとても大事ですね。

道具の対比

好きな人からもらったモノ」として、ギターとピアスが「対比」としてお話が展開されます。

片方だけのお話だけでも、それなりにお話となりますが、同時にニノとミオウの話が展開されることで、より「好きな人からもらったモノ」というテーマが強く表現されています。インパクトも大。

対比でお話は強くするのは一般的な技術ですが、狙って構成するのは大変。さすがです。

遊びのシーン(モブ達)

ニノが教室でギターをひいていると、ハゲ君がやってきたり、クラスメイトとのからみがあったりします。そこで男子がニノってイイんじゃね?的な話も。
主要人物だけの展開が続いていたけど、今回はこのような「遊びのシーン」が展開されました。

こういう遊びがたまにあると、緊張に対する緩和となりバランスがよくなりますよね。
もちろん、ただの遊びで終わらせるのでなく、ついでにニノのキャラクターをより強調します。
ニノってイイんじゃね?ってまさにソレですね。可愛いニノを表現してます。

さらに、チヤホヤされるニノ=ミオウの嫉妬にも絡んでますね。
小さいシーンながら、いろんな効果があります。

おわり

前回までは激しい展開が繰り広げられ、今回は一旦ゆるやかめなお話でしたね。
まあ、ゆるやかながらも叫びまくってるし、物語は展開していくのだけど(笑)

ラストは、ユズが母から多分ビンタをくらったような様子で終わりました。
家族問題が勃発でしょうか。モモと同じでユズも家族でモメているのでしょうか。
違ったところからストーリーが展開されそうですね。

それでは、また次回。

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出典:福山リョウコ・白泉社/アニメ「覆面系ノイズ」製作委員会/アニメ『覆面系ノイズ』(BSフジ 2017年5月23日放送)第6話