物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を1つのテーマで分析した内容を読むことで、分析力が鍛えられるシリーズ。
今回は、アニメ『コメット・ルシファー』をとりあげます。
テーマは「ご都合主義」についてのお話。
※ネタバレあり
「TVアニメ『コメット・ルシファー』オリジナルサウンドトラック」
『コメット・ルシファー』あらすじ
鉱石好きの少年ソウゴ・アマギは、今日も鉱山跡で石を採掘していた。その時、不思議な色をしたギフトジウム原石を見つける。意気揚々と街に戻ったソウゴだったが、友人のカオンとロマンのケンカに巻き込まれ、地下深くにある地底湖の洞窟に迷い込んでしまう。恐る恐る洞窟の奥へと進むソウゴとカオン。するとそこには、巨大なギフトジウム原石が鎮座し……次の瞬間、2人が目にした驚きの光景とは――!?
今回のテーマ「ご都合主義」
コメット・ルシファーは、「ご都合主義」なストーリー。
あまりにも自己中心的なストーリーなので、ビックリです。
ここまで「ご都合主義」なストーリーは、滅多にありませんね。
ご都合主義とは何かというと、「不自然」ということですね。
主に2つのケースがあるのかな。
1つは、「起こるべきことが、起こっていない」。
極端な例だと、愛するものが死んだら、悲しみますよね。
それが、無反応。または、悲しむのだけど、次の日には悲しみは終わり、アッサリといつもの普通の状態になってるとか(強がっているとかではなく)。
そんなこと、起こらないですよね?(まあ、シュールなギャグなら…)
2つ目は、「起こらないことが、突然起きている」。
例えば、今まで元気だったヒロインが、急にウッとなり、不治の病になったり。
または、壊れてしまった乗り物が、ピンチの時にエンジンかけてみたら治っていたとか。
そのようなことが起きると、ご都合主義となります。
大抵は、そうならないように、自然に見える工夫をします。
ですが、考えなくストーリーを作ったり、工夫もなくストーリー上をキャラクター無理やり動かそうとすると、そういうことがよく起こります。
ご都合主義だらけ
コメット・ルシファーは、ご都合主義な点が多いので、自己中心的にストーリーを作った感じが見え受けられます。
まるで、素人が作ったみたいで、ビックリです。
それでは、いくつか気になったところをあげてみます。
1話のアバン。
鉱石を探している主人公の手に、いきなり空からビームが飛んで当たる。
酷い…なんの流れもなく、いきなり…すごいご都合。
そして、別のシーンでは、主人公と幼馴染のカオンがトラブルによって、たまたま空いていた大きな穴に高い所から落ち、次のシーンでは何ともなく無事着地してる状態に。
あんな高い所から落ちたら、死んでしまうほどなのに、何とも無し…
これは酷い…多数の視聴者も、あきらかに変だと気づいてましたね。
いくらなんでもコレはやり過ぎです。ご都合すぎ。
しかも、落ちたところが、アッサリとフェリアが現れる場所に繋がっているという始末…
そうなると、別の場所から壁を掘り進んで、探索していた敵はなんなの?
あんなデカイ穴が始めからあるなら、敵もフェリアをアッサリみつけられるじゃん…
そもそも、このデカイ穴は何のために空いていた穴なんだよ…
2話。ライバルとなる敵が、いきなり仲間集めを始める。
これは酷い…話に何の脈略がありません。
「え?軍なんだから、普通にフェリアを拐えばいいじゃん!」とツッコミたくなります。
あまりに唐突すぎ。ご都合すぎ。
この展開のせいで、だいぶストーリーを停滞させ、つまらなくさせてます。
4話で、フェリアが敵に拐われられる。
その時に、学校にいく途中に雨宿りしていた主人公が、テレパシーで思いついたかのように、「俺、早く帰らなきゃ」と唐突にいい、家に戻ります。
なんだコレ…
そういう能力が身についたのかと思いきや、後ではそんな素振りは一切ありません…
しかし、すごい台風の中、学校へ行くのも不自然でしたね(というか学生だったのかよ!)
5話で、主人公は拐われたフェリアを取り戻そうと、敵を追いかけます。
それはいいのですが、急に雪がふりだす!
春か夏っぽかったのに、なんで急に冬になるんだよ!
さっぱり意味がわかりませんし、唐突です。ご都合です。
しかも、雪が振ったのは、この回だけという異常気象。なんだこれ…
世界観が狂って、視聴者はこの世界、物語を信じられません。
6話で、力の使いすぎで大人になったフェリアを戻すために、遺跡へ行くことに。
これまた唐突な展開…しかも、とってつけたような理由で、内容もチープ。なんだそれ?
理由がチープすぎて、行っても行かなくてもどっちでもいい状態に。
そんな浅い理由じゃあ、ストーリーは強く進みません…
ついでに、「敵に家バレしてフェリアが拐われたのに、家に戻って大丈夫かよ!」というツッコミが。
謎のエージェント・ミツバチが、主人公をスパイしている。
というか、なんで彼女がスパイとして潜入しているのかが、まったく説明されない。
というか、なんで以前から、主人公達の近くに都合よくいたの?意味不明。
意味不明キャラクターなので、ストーリーに混乱を生んでいる。
9話。ドモンが墓で、秘書に刺され死亡。
というか、先に施設内で会っているのに、墓場を指定して刺す意味がない…二度手間!
墓場で、ただ悲しいシーンをやりたかっただけ。工夫のカケラもない流れ。酷いご都合。
11話で、敵組織のボスが秘書に刺され、何のセリフもなく、あっさり死亡。
イヤイヤ!敵組織のボスなんだから、最後くらい何か言おうよ!
今まであんなに、いわくありげに登場してたのに…台無し…
モブみたいな扱いになってる…
そして、ライバルだったガスが、ドモンが殺されたことでアッサリと改心。
安っ!あまりにも安すぎて引くわ…
チープなライバルは、最後までチープでした。
もちろん、お話は強くなりません。
12話。ラストは、とってつけたような話…
あの惑星がすごい唐突だったな…
やるなら、あの惑星のことをもっと前フリしてほしいわ。
といった感じで、ご都合主義なストーリーになっています。
大雑把に気づいた点をあげているので、詳しく分析すれば、もっとあると思いますけど…
あきらかに、物語の基本を知らない人が作った作品ですね。なんなんでしょう。
このように、ご都合主義な展開が目白押しなので、「ご都合主義」とは何かを考えるのに参考となる作品ですよ。
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出典:Project Felia/「コメット・ルシファー」製作委員会