物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『活撃 刀剣乱舞』の第13話「活撃」の感想分析をします。
ちなみにゲームはやっていないが、花丸はみてます。
※ネタバレあり
13話「活撃」あらすじ
元の主・土方歳三が命を落とすことになる箱館戦争の地を訪れた和泉守兼定は、新撰組の袖章をつけた堀川国広と出会う。
それぞれの想いをぶつけ覚悟を決めた和泉守は、時間遡行軍の介入を阻止すべく陸奥守らと一本木関門を目指す。
歴史改変を目論み出現する千体の時間遡行軍に、集った第一部隊と第二部隊の刀剣男士たちは、自らに課せられた使命を抱きながら立ち向かうのだった。
感想
さて、ついに最終回。
和泉守兼定は堀川国広と再会し、そして土方歳三と会い決着となります。
最終的な決着となる場面ですが、どこかアッサリした印象をもちました。
前回のちょっと強引な展開や、いきなり3年後の国広くんが登場といった展開に気持ちが追いついてないというか。シーンが足りないというか。
また、どこか淡々と進み、演出も強いわけじゃないのもそう感じる要因かな。
そのへんが影響して、アッサリした印象をうけました。
もちろん、ラストバトルは普通に盛り上がりましたけど。
1,000体の超ピンチに、(予想通り)仲間がやってきて第一部隊と第二部隊がそろい、キャラクター同士の絡みがありつつのバトル。
アクションも派手で、グリグリと動き、キレイに決まっています。
三日月宗近スラッシュ!とか、骨喰藤四郎と薬研藤四郎の連携技とか面白かったです。
ちなみに、骨喰が薬研を刀で飛ばすのは、何かキャプテン翼を思い出した(笑)花丸10話のサッカー掛け軸はコレの布石?(笑)
気になる点といえば、敵の面白さはなかったですね。
特にラスボスもいわるわけでもなく、以前に第一部隊が戦ったように変わった敵もいわるわけでもなく、シンプルに1,000体という敵ですからね。
あとはバトル展開も、特に工夫はなかったので残念。
まあ、バトルよりキャラクターを魅せることが大事なのでしょうがないのかな。最終回の流れだと、変にバトル凝っても余計なのかな。
そして、ラストは「歴史を守る」ことについて兼定は分からないと。
あれだけテーマをセリフで押していたのですが、結論がでませんでした(笑)
まあ、言いたいことはわかりますけど。
そういうものに結論はなく、ずっと問い続けないといけないということなのでしょう。
ちなみに、クライマックスにかけてゴチャゴチャとセリフがあったり急展開で、何が起きてるのかよくわからないという視聴者もいるようなので、少し整理してみます。
堀川国広は何がしたいか?
和泉守兼定は土方歳三に久しぶりに会って、気持ちがあふれた。涙…
それを見て国広は、土方歳三の最後に一緒にいることができなかった、守ることができなかったという兼定の心残りを消したくなった。
そして、その気持ちがあるからこそ、兼定は思い悩んでいると思った。
「歴史を守ったけど、関係ない人が死んで本当に守ったことになるのか?」という葛藤。
それを言いかえると、「守りたかったけど守れなかった」という想い。
トラウマがあるからこそ、強くそう思い悩んでいると思った。
だから、国広は兼定と一緒に「土方歳三を守る」ことで、それを解消したかった。
できれば歴史を守りつつ、それを実行したかった。
しかし、3年たってもそんな上手い手は思いつかず、現在「函館戦争」にいたる。
ただ命を守るだけだったらできるのだけど、3年過ごして国広も思うところがある。
そこで国広にできたのは、刀を遺品としておくらないように手をつくすということ。
土方歳三の命を守ることはできないが、和泉守兼定の心残りだけは解消できる。
(いや、もしや国広が土方歳三を説得してて、武士としての価値観を弱め、他の道を選んで生き残る可能性があったのかもしれない。歴史をギリギリ守りつつ、生かすという道が。可能性は低そうだけど)
しかし、それでは土方歳三を侮辱することになる。
武士だからこそ、武士である命、刀をおくることを決めた。それをおくらないということは、武士でなくなるということ。武士として生きた土方歳三の人生を侮辱することに。
そして兼定は、彼が武士として生きた人生を「守る」ために、兼定は土方歳三に物申す。
つまり「歴史を守る」ということは、「その人の生き様を守る」という意味でもあると語っている。そのへんを国広も理解して、和解すると。
でも、それは歴史を守ることの1つの答えであって、「歴史を守るとは?」という問いは続くと。
こんな感じなのかな。
ちょっと私も途中混乱しました。いったい国広は何がしたいんだかよくわからなくなりました。
むしろ、セリフが多くてわかりにくくなったとこもあるのかな?
でも、言いたいことはイイことなんですけどね。
とにかく、引っかかるところもありましたが、最終回は決まっていたと思います。
終わりよければ良しです。
分析
それでは、技術的なポイントを視ていきます。
3年後の堀川国広です
3年後の堀川国広が登場するのですが、あまり3年後感が薄かったですね。
前回の唐突な展開もあいまみえて、さらにそう感じる。
もっと3年を感じさせるシーンがあると、リアリティが出て決着のシーンが強くなったのだけど。
まあ尺がないのか、あると構成が不味くなるのか。
そこが残念。
ちなみに、ちょとした演出では兼定と対面した時に、目ウルウルしてましたね。
和泉守兼定と土方歳三の対峙
土方歳三の前に出て、和泉守兼定が物申すシーン。
決着となるシーンなのだけど、どこか弱さを感じる。
特に強い演出もないせいなのか。
他にも原因があると思いますが。
今まで「決めのシーン」で強い演出でみせてきたけど、それと比べるとラストの決着シーンにしては弱く感じるのかな。
また、前回の唐突な展開や、先の3年後の堀川国広問題もその弱さの要因。
そのへんの不自然に急いでいる感じが違和感で、気になって決着シーンがバシッと!決まらない。
そもそも、兼定が何を目的として屋敷へいったのかわかりにくいとこも問題だったのかな。
さらに細かいところで、鉄之介と土方歳三の会話の繰り返しシーンも、いまいち勢いが弱くなる。
ちょっと余計なとこカットしてもよかったな。
俺がリーダーだ
和泉守兼定が1,000体と戦う前に、馬でやってきて他の5人と並ぶ。
そして、いつもの「任務確認」を叫んで、リーダーっぽく振る舞う。
馬を使っているのが上手いですね。
一人だけ乗っているのが、リーダー感を強く印象づけてます。
それも自然に。
ピンチで仲間はやってくる
全員がそろっていない第一部隊や第二部隊。
もちろん、ピンチにやってきます。
活撃の定番となっているかな。
まあ、ベタですけど普通に盛り上がります。
ちなみに、大ピンチに初登場するのは、もちろん三日月宗近ですね。
最強であるおじいちゃんが出ないと不味いです。
タッグバトル
バトルの見せ場として、タッグを組んだバトルが展開されていました。
蜻蛉切と大典太光世、薬研藤四郎と骨喰藤四郎の兄弟、髭切と膝丸の兄弟、三日月宗近と鶴丸国永、和泉守兼定と堀川国広と。
タッグによるバトルで、各キャラクターを新たな表現、魅力をみせてましたね。
アクションもそれぞれカッコよかったし。
ちなみに、山姥切はタッグいない…(笑)
まあ一応、陸奥守吉行とタッグなのか?あまり関係性はなさそうだけど…
堀川国広の決着
国広が格好良くバトル場へやってきて、宣言する。
「兼さん、僕は決めたよ。僕は兼さんの使命を、自分の想いよりも守ろうとした歴史を守る!」
もちろん国広の心の決着がないといけないですよね。
始めたものは終わりにしないと。
国広の決着シーンとなってます。
そして、その宣言の行動表現として、バトルの終わりに兼定と国広の連携攻撃で大太刀をぶっ倒します。
「歴史を守る」という問いの答え
問いの決着として、もちろん兼定と三日月宗近がお話しします。
三日月宗近「歴史は守ることができたか?」
やれることはやったけどわかりません、といった感じの答え。
問い続けるというのもいいのだけど、視聴者に対して一つのわかりやすい答えが欲しかったかな。
結構、何度も問いを繰り返したわりに「わかりません!」じゃ、ちょっと物足りない。
第二部隊の締め
国広が隊をぬけたので、その決着シーンも必要です。
第二部隊のみんなはスンナリと受け入れます。
和泉守兼定「国広ー、何やってんだよ!早くこい、オマエも第二部隊じゃねーか!」
薬研藤四郎「和泉守の相棒で」
鶴丸国永「助手なんだろ」
蜻蛉切「堀川殿」
陸奥守吉行「いくぜよ!堀川!」
と、みんな一言ずつセリフで決めます。定番の仲間セリフです(笑)
そして、「相棒で助手」という以前からのネタを使うことで、より決まってます。
もし、そのネタでない普通の呼びかけだと退屈。
ギャグの締め
今回の長い戦いは終わるが、第二部隊はさっそく次の仕事と。
うへぇ~といったゆるい反応。ギャグシーン。
緊張と緩和の、緩和です。
この緩和があるから長いクライマックスの緊張がとけ、エンドとして締まります。
小さいけど、とっても大事なシーンですね。
おわり
そして、終わった後に「劇場版!」の告知。
刀剣乱舞は休みなく押しまくってます。
劇場版はどうなるのかな?
告知の感じでは第二部隊と第一部隊がでそうだけど、普通に新エピソードか、それとも総集編か。
または、花丸と合体版というのもあるか(笑)
もし、新エピソードだとして、予想するとこんな感じかな。
ある日突然、本丸に直接、時間遡行軍が攻めてくる!それで、なんか変なビームで刀剣男士がいろんな時代にバラバラ。そして、本丸は乗っ取られ、主はブラック主に。本丸と主を取り戻すために頑張る!みたいなシナリオとか。当たってる?(笑)
次回は「総括」したいと思います。
主に技術的な部分を。興味ある方はご覧ください。
それでは、また。
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出典:Nitroplus・DMM GAMES/「活撃 刀剣乱舞」制作委員会(BS11 2017年9月24日放送)第13話