物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『活撃 刀剣乱舞』の全話の総括をします。
ちなみにゲームはやっていないが、花丸はみてます。
※ネタバレあり
感想
刀剣乱舞のアニメ化『刀剣乱舞 花丸』を経ての『活撃 刀剣乱舞』。
全体としては、良かったです。
終わりの方は、少し引っかかるところもありましたが、それでも十分決まった作品じゃないでしょうか。
活劇の特に目を見張るところは、作画の質ですかね。
キャラクターの一つ一つがキレイに描かれてますし、背景もデザインや細かいところキレイ。
そして、アクションの美しさがありました。特に第二部隊の仲間と連携したバトル、第一部隊のバトル、ラストバトルは見ものでした。カメラワークも工夫されてましたね。
そして、ストーリーも、基本的には良かったです。
仲間との関係性が表現されつつ、「歴史を守るとは?」という深い問いがあり、ドラマが表現されていました。
ちなみにストーリーは、なんだかんだ元主とのお話でしたね。花丸がそうだったので、その辺は変えてくるのかな~と思っていましたが、結局のところはソコに落ち着きました。
元主とのストーリーといっても、花丸と活撃はテーマは違いますけど。
さらに、刀剣乱舞といえば、多数のキャラクター。
花丸では、いろんなキャラクターを登場させることができましたが、今回は花丸に比べると少なめ。主に、第一部隊と第二部隊の12人となります。その辺は、ファンには少しガッカリなのかな。
まあ、途中に本丸でチラリといろんなキャラはでましたが。
花丸との違いを出せたかという点については、活撃ならではの感じが出ましたね。
まあ、真面目よりという点だったり、アクションばりばりといった点とか。もっと、シリアスな出来事とかあると、もっと違いはでたのですが、まあそれは仕方ないですか。
といった感じで、全体的には良かったと思います。
分析
それでは、技術的なポイントを総括します。
キャラクターの表現
刀剣乱舞ならではの個性なキャラクターが表現されています。
もちろん、それぞれが違うキャラクターであり、真面目な面だけじゃなく、ユーモアの面もしっかり描いています。
始めに、花丸とは少しキャラクターの性格を変えてくるのかなと思いましたが、けっこう花丸の性格を引き継いでました。まあ、少し真面目よりではありますが。
それはそれで嬉しいという部分もあり、しかしガラッと性格の変えたキャラクターも見てみたかったかなという部分もありますね。アニメは作品は違えど、統一して表現する方向なのかな。
お話の前半では第二部隊の関係性を強く描いており、後半では和泉守兼定、堀川国広、陸奥守吉行の関係性が強く描かれています。
その関係性によって、よりキャラクターの魅力をひきだしています。
しかし、刀剣乱舞は大勢のキャラクターの作品。後半は3人が中心だったので、他のキャラクターがあまり表現されなかったのはファンにとっては残念だったかも。もっと、第二部隊だけでもキャラクター同士のぶつかり合いがみたかったかな。
といっても、ストーリーのかねあいでバランスが難しそうですけど。アッチをたてば、コッチがたたずになりますし。
和泉守兼定と陸奥守吉行は相棒
キービジュアルでは、和泉守兼定と陸奥守吉行がメインで、一応2人が主人公なのかな。
まあいうなれば「相棒(バディ)もの」。
映画でいうと、西部劇で相棒と活躍するとか、刑事と相棒が事件解決するとか。
始めの方では、陸奥守が「兼定をリーダーとして認めない!」みたいな感じで進み、途中で隊長として認める。口ケンカしつつ、お互いが協力しあったり、相手が困った時に手を差し伸べたりと。
そんな2人の熱いバディが繰り広げられていました。
しかし、後半の途中からクライマックスにかけては、そのへんが弱くなってる印象をうけました。
相棒として振る舞いきれていないというか、陸奥守がそれほど活躍する場面がないというか。
まあ、その理由としては、「堀川国広も兼定の相棒といった立ち位置」みたいな感じなので、役割がかぶっているせいかな。
相棒である国広が去り、国広を取り戻すためにクライマックス頑張ると。その分、陸奥守は弱くなると。
なので、陸奥守が相棒として最後までやりきれなかった感じ。
そのへんのバディ問題が少し気になりました。
作画の品質
作画の質は高かったです。
一つ一つの画やアニメーションがキレイで、始めから最後まで品質を保ってました。
特に目を引いたのは、キャラクターもそうですけど、「背景」を凝っている点ですね。
けっこう、ヒキのアングル(遠くから見てる感じで、キャラの全身がみえる)が多めでしたけど、背景に自信がないと、なかなかできないアングルです。
それに、ヒキのアングルの画面が決まっていると、絵画的というか、上品な印象を与えるので、より活撃のシリアスな印象にあっていると思います。
通常はやりたくても、なかなかできない表現なので、その点だけでも素晴らしいと思います。
本丸もスゴイ綺麗でゴージャスでしたしね。花丸と大違い(笑)まあ、花丸も花丸でキャラクター画の質は高かったですけどね。
シリアス
花丸と違いシリアスな雰囲気の活撃。
シリアスなので、「夜のシーン」が多めでした。
夜を使うことでシリアス感を出しています。
ちなみに、花丸と対比となっていますね。花丸は「昼」みたいなイメージで、活撃は「夜」と。もちろん、対比を狙っている部分もあるのでしょうね。
そして、シリアスなので「誰か折れるのか?」みたいな雰囲気でしたが、結局は誰も折れず。
まあ、できないよね(笑)
折れれば、ストーリーとしては強い印象にはなるけど、刀剣乱舞はファンが多いし。発狂するか、炎上するか。折りたくても折れない(笑)
そこは、制作陣の苦しいところでもありそう。
第一部隊のインパクト
第一部隊のインパクトは強かったですね。
第二部隊のお話が少しお安いで、第一部隊の活躍。
隊のキャラクターもスゴイ濃いメンバーですし、強さも圧倒的でした。
また、活躍のお話も凝ったお話でしたし。
なので、メインの第二部隊が食われるのではないかと心配しました。
まあ、テーマを強く打ち出し、なんとか回避して終わりをむかえましたけど、まったく食われてないかというと微妙なところかな。
第二部隊だけじゃなく、他のキャラクターも魅せたいというとこで登場したところがあるのだろうけど。
なかなか、バランスが難しいところです。
12話の唐突な展開
12話は唐突な展開となりました。ご都合主義的な。
審神者が登場して、任務が終わってないのに「唐突に」函館戦争に行くことに。さらに、「たまたま」そこにいったら1,000体の敵が!とか。けっこう、唐突でご都合的な展開が繰り広げられて混乱した視聴者も多かったみたいです。
今まで丁寧にやっていた分、「アレ?」という感じでしたね。
一体、どうしたのでしょう。
自然にみせる工夫がなかったので、ちょっと残念なところでした。
※ここの詳しい内容は「活撃 12話」の記事を参照
テーマ「歴史を守るとは?」
活撃のテーマは「歴史を守るとは?」という問い。
深いテーマなので、作品のドラマに深みが増していきます。
しかし、ちょっとしつこい感じがありましたね。
そのセリフが後半、多すぎたというか。セリフシーンが、説明が多くて少しダレたところも。
また、ラストは視聴者に、その問いに対するわかりやすい答えを言ってほしかったかな。
結局、ずっと問うだけで、答えがない感じでお終いみたいに見えるので。
仮の答えを出し、そしてさらにそのことを問い続けるという感じで。
答えがないわけじゃないけど、普通の視聴者にはわかりにくかったと思います。
※ここの詳しい内容は「活撃 13話(最終回)」の記事を参照
「任務確認」の打ち合わせ
個人的に面白味を感じた点として、「任務確認」の打ち合わせシーン。
任務の始まりに、隊で打ち合わせをして出発・行動というシーンがけっこう毎回ありました。
その普通でありきたりなシーンをどうみせるかを工夫しています。
いろんな回を見比べると面白いですよ。
おわり
ちなみに、2018年1月に「刀剣乱舞 花丸 2期」が放送されるみたいですね。
間をおかずに早速ですか(笑)
というか花丸の2期があるとは思ってなかった。
アレの2期ってどんななるんだ?全話完全ギャグシーンで進んだり(笑)
今回の活撃と花丸のどっちが好みかというと、私は「花丸」の方が好きかな。
毎回、くだらないギャグがあってイイ。また、ギャグパートはただのギャグと見せかけて、その回のテーマに深い意味がある点が好きです。
活撃は映画化もあり、花丸は2期と。
どんどん盛り上がる刀剣乱舞アニメシリーズですね。
それでは、またいつか分析するその日が来るまで。
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【作品分析(全話)】1話「出陣」/2話「部隊長」/3話「主の命」/4話「守りたかったもの」/5話「戦火」/6話「本丸」/7話「第一部隊」/8話「歴史を守る」/9話「元の主」/10話「忠義の向かう先」/11話「鉄の掟」/12話「函館戦争」/13話「活撃」(最終回)/全話(総括)
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出典:Nitroplus・DMM GAMES/「活撃 刀剣乱舞」制作委員会