物語を作る上で、読み解く力「分析力」が必要となります。
作品を「作り手の視点」の感想を読むことで、作り手としての視点を鍛えるシリーズ。
今回は、アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』の第8話「走っちゃった!」の感想分析をします。
原作などは読んでおらず。また、アニメ『ラブライブ』との比較分析を、軽く入れたりと。
※ネタバレあり
『BanG Dream!(バンドリ)』の基本情報
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8話「走っちゃった!」あらすじ
沙綾がバンドを辞めた本当の理由を知った香澄は、もやもやした気持ちを抱えながら文化祭の朝を迎える。そして香澄は、とある事情で文化祭に来られなくなってしまった沙綾のためにも文化祭を成功させようと決意する。一方、携帯のメッセージから聞こえるクラスメイトの歓声や手紙に書かれた曲の歌詞に心を揺り動かされる沙綾。そんな娘を見て、母の千紘は――遂に香澄たちの文化祭ライブが始まる!
感想
さて、今回は「沙綾ゲット回のラスト」。
ツッコミどころはありますが、基本的には普通に良いお話だったと思います。
やっぱり一番は沙綾ですね。
自分の想いを隠した沙綾が、想いを表にはきだす姿はよく描かれています。
ベタといえば、ベタですけど今回は特に丁寧に描かれているので良かったです。
そして、ラストの文化祭ライブも決まっていました。
ぐりぐりと動く3D、そして「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」もいい曲です。
個人的にも好きな曲。歌詞は沙綾への想いが書かれていますし、今回のお話から歌詞をみると印象的です。
あとは、文化祭イベントによるキャラクター達の面白味も出ていました。
こういうイベントはキャラクターが出しやすいですからね。
いろんなとこで、ネタとなる面白いシーンが満載。
そのような良いところが、とても印象的な回になっています。
ツッコミどころとしては、まず曲を聴いてあっさり沙綾が演奏してしまったところ。
前回からどうするんだ?と思ってましたが、予想通りのあっさり演奏となってしまいました。
そこをかわす何か手があるのかと思いきや、何もなかったのが残念。天才設定なのか?
そして、沙綾のリアルな現実問題が結局残ったままという。
今回はそれはそれでいいのですが、変にリアル感が残っていまい、今後のストーリー展開に遺恨を残してしまいました。
次回はバイトするようですが、沙綾の家でバイトなんですかね?
それで軽く火消しをして、後は無かったことにするかもしれないのが怖いです。
あとは、作画ですかね…
悪化して作画崩壊状態になってきました。一番の決めるお話でここまでダメとは。
絵もアニメも演出も単調になって、せっかくの回が残念な出来でした。勿体無い。
まあ、ツッコミどころはありつつも今までで一番の良い回でしたので、バンドリの評価をあげたのではないでしょうか。
分析
それでは、技術的なポイントを視てきます。
香澄のキャラクター
今回は香澄の性格が、良い方向に機能していました。
文化祭のような祭りでは、特にはえます。
「1のA!1A!1A!えいえい!やー!」というかけ声を、唐突にみんなで。
香澄ならではですね。
そして、ライブで始めに間違ってバンド名を名乗ろうとするドジっ娘ぶりも香澄らしいです。
また、それがラストのみんなでバンド名を名乗るところの前フリとなって強調に。
その前のメンバー紹介も香澄らしさが効いてます。
自分のことは「ランダムスターの戸山香澄!」と決め。
香澄のキャラクターとストーリーがマッチしています。
また、今回は特に「相手を思いやる」感じがきちんと出てます。
文化祭で沙綾の分まで頑張ろうとするし、文化祭を楽しむけど沙綾を思い少し影を落とした表情になったり、電話では「沙綾は大丈夫?」と聞いてたりしてました。
こういう香澄が、前の方の回でもきちんと出てれば、変に勘違いされて不評な意見がでることはなかったんですけどね。
ちなみに、今回気づきましたが、香澄の携帯も尖ってますね(笑)
有咲のキャラクター
有咲はあいからず、いじられまくってます。
いじられオモシロ、つっこみオモシロになってます。
朝起きて花園たえに抱きつかれ、ギャー!と。
あれは絶対チューしましたよね(笑)
クラスの出し物では「有咲姫」と羞恥のマトになっていますし。
さらに「姫を探せイベント」で、とことん突っ込んだネタになってます。
有沙は毎回イキイキです。
ちなみに、グリグリのお化け屋敷前では小さなストーリーもありましたし。
生徒会長「本気でやってるから。なぁなぁでやっても達成感ないし。何も楽しくない。そうじゃない?」
それを言われて有咲は思うところがありました。
今回のお話のテーマにかかることでしたが、有咲のためのセリフにもなってます。
「バンドなんてどうでもいい」といったことを、有咲は言いますから。
有咲もいつか、「バンド好きだよ!」という日がくるのでしょうか(ニヤリ)
花園たえのキャラクター
今回も花園たえワールドが炸裂してました(笑)
朝は愛するウサギと勘違いして有咲にせまるし。
有咲姫に王子のように手を差し伸べたり、沙綾の留守電でも「山吹ねえさんの歌作ったから聴いて」とか、ちょこちょこワールドをぶち込みます。
また新しい一面として、カメラ小僧な面も出てました。
スマホじゃなく、アナログで撮影。そこもたえワールドなのでしょうか。
ちなみに、クラスの喫茶店で一瞬ギター弾いてそうな静止カットあったけど、何もなかったのは残念。
描くの大変か。
牛込りみのキャラクター
牛込りみは、あいからずのりみりみっぷりです。
朝は2人がもめてるのに「仲良しだね」と。彼女は意外とあなどれないツッコミをします。
前回は、ヤバいひなこ先輩の「マイシスター」に対し「違うよ」と。
喫茶店のラテアートでは、パンダの絵が失敗。
姉・ゆりが「タヌキ?」と言い、ささっと撮影。りみ「やめて~」
「やめて~」の声にいつも萌えるぅぅぅ。
姉妹のやりとりでは、いつもほのぼのした可愛らしさが漂います。
その他のキャラクター
妹・明日香も可愛さ全開でした。
「なんでイキナリお姉ちゃんに会うかな~」と可愛らしいメイド服。
友達に冷やかされるのも、いいぃ。
また、ライブをみてる時も、着替えずにメイド服なのがいいぃ。
最近あまり出番ないので、もっと活躍してほしいいぃ。
そして、今回はグリグリ全員登場。
ヤベえ二十騎ひなこも全開でした。
「2人共お持ち帰りで!」「ターンペリ!ターンペリパーリー!」「カーンパイ、フー!」
もうヤバいしか言いようがない(笑)中の人のアドリブだったらどうしよう(笑)
しかも、そんなヤバいひなこ先輩を完全スルーして普通にしている牛込姉妹。あなどれません(笑)
そして、お化け屋敷では、メンバーはのりのりの状態。あれ?…ひなこ先輩はいたっけ?
ストーリー構成
今回は、キモとなる「沙綾の心の変化」の展開をみていきます。
特別な8話にあわせ、気合をいれた分析をしてみます。
沙綾は、自分の想いを素直に出せません。だから、言葉にも出せません。
前回、香澄にバンド嫌いになったかを聞かれた時「そんなわけないじゃん!」と言っていました。
でもその言葉は「今でも好き!」といった明確な言葉ではなく、曖昧な言葉。
今回のお話は「沙綾が自分の気持ちを、言葉にしていえるかどうか?」ということがキー。
沙綾は母が貧血でクラっとし、母を病院へ連れて行きます。そして、せっかくみんな準備した文化祭へ参加できません。一方、学校では文化祭が始まり、みんな楽しそうです。
沙綾のかかえる現状が、対比として表現されています。
またパンを届けた父親から香澄へ伝わる伝言。
沙綾「文化祭、成功しますように。ライブ、成功しますように」
沙綾は人のために願うだけ。普通に「行きたかったけど、私の分も頑張ってね」ということすら言えません。自分はどこにもいません。
そんな中、香澄から連絡があり、留守電メッセージが2件あります。
1件目では、沙綾を心配する香澄、そしてクラスのみんな。
2件目「もしもし。こっちは大丈夫。すごく楽しい!すごく、すごく、すっごく!だから、ライブも頑張るね。沙綾に届くくらい頑張るから」
香澄は「すごく楽しい!」と言います。自分の今の気持ちを素直に。
そして「すごく、すごく、すっごく!」と強く、沙綾に訴えかえるように。
しかし、沙綾にはそんなことは言えません。香澄のように素直に口には出せない。
そして、歌詞を見る。
沙綾のための歌詞であり、Poppin’Partyのみんなの歌詞。
自分の今の状況であり、未来の自分がそこにいる歌。
香澄の想いに、自分の想いが強く湧き出る沙綾。
今はもしかして変えられるかもしれない選択の時。でも、ここで諦めたら沙綾は二度と願うことはない。
それでも、沙綾は無理だと感じてます。だから涙します。
苦しいから涙します。本当は叫びたいから。その気持ちが本物だから。
そこへ現れる母と兄弟。
母「行って」
沙綾は無言で頭をふる。
母「沙綾は優しいね。お母さんにも、みんなにもすごく優しい。その優しさをもっと自分に向けて」
沙綾「できないよ…」
母「沙綾ならできる。一人じゃないんだから」
兄弟「さーながいるから大丈夫」「オレも」
沙綾「なんか私、全然ダメだね」
家族「いってらっしゃい」
家族を心配している沙綾だけど、逆に幼い兄弟にすら心配かけてしまう沙綾。
そんなことすら気づいていなかった。
情けなくも思いつつ、あたたかい家族の後押しに決心します。
そして、走る沙綾。
学校につき、元メンバーに出会う。
決心したからといって全ては変わらない。過去との対決。向き合わなければいけない試練。相手に対しても、自分に対しても。
沙綾は過去に恐れくじけそうになるが、言おうとする。
沙綾「ナツ!フミカ!マユ!私!」
夏希「楽しかったよ!…沙綾とのバンド、楽しかった。沙綾は?」
沙綾「…ぐっ……楽しかった!!!…楽しくて、大好きだったよ…」
ついに、沙綾は言います。「楽しかった」と叫び、そして「大好きだった」と。
自分の気持ちを素直を言うことができました。隠してた想いを表に。
彼女は、試練を乗り越えました。もう、今までの彼女ではありません。
試練のご褒美にドラムスティックを手に入れました。いえ、取り戻しました。
ただのドラムスティックですが、それは沙綾が本当の自分を奏でるための武器。
自分そのものでもあります。
そして、会場へ入ります。
沙綾に気づいた香澄は、手を差し出します。
今度は沙綾は迷いません。前回はとれなかった香澄の手をとります。
そして、自分の場所、本当の居場所へと向かいます。
ついに、沙綾はみんなと歌います。
変わった自分を「行動」で表します。歌で表現します。
私はココにいると。みんなの絆でココに立っていると。
視聴者は、そんな沙綾の変化を強く感じ取ります。
そして「沙綾、頑張ったね」と震える声でつぶやき、星をみあげるのです。
沙綾という、またPoppin’Partyというキラキラした輝きを…
このような感じで、沙綾の変化は説得力のある変化となっています。
ちょっと過剰な妄想も入りましたが(笑)
でもチクリいうと、他の回でもこのような流れをきちんと出来てればよかったのですけど。
ちなみに勘違いしないでよ!今回たまたま良かっただけなんだから!
バンドリなんか好きじゃないんだからね!(笑)
3Dライブ
ウリの3Dライブは良かったですね。
バンドの臨場感を感じられる動きがでていました。
クライブの正面画だらけの時とは、雲泥の差です。
演奏は体全身を使い、めいっぱい動かしてますし、一人ひとりへの演奏をピックアップしたカメラワーク。スタービーツ!の決めでは、光パシーンと。
演奏のラスト前では、今回のメインでもある沙綾のカメラとなりドドドドドと前のめりな演奏となり、ラストを決めました。沙綾アピールも十分です。
で、締めの「ララララ~」で決めの静止イメージ画。3D演奏だけでは弱いので、そのライブをイメージできる画があると、視聴者は心にとどめて置きやすい。そして、その画はみんなキラキラと輝いています。
ちなみにCDとは違い、文化祭用の音源でしょうか。
これはこれでリアリティが出てますね。
また、始めに沙綾が少し失敗するのは良かったです。
ドラムスティックがすっぽ抜けて、すぐパシッと取るしぐさ。
「久しぶりな感じ」が出ています。
しかし、問題の沙綾の久しぶり感が、もっと出せてたらなぁと思います。
「一回聴いただけだし、絶対ボロボロ」といってたとおりに、むしろボロボロのドラム演奏してほしかったかな。そういうリアリティだしたら、すごく賞賛したのですが。
また、沙綾が過去の自分を捨て、荒々しく「楽しかった!!!」と叫んだように、みっともないダメな音楽で表現する方が、沙綾の気持ちすごく表現できました。
なら、長年語り継がれるほどの名作になったと思いますけど。
企業なので挑戦ではなく、無難にまとめましたか。そこは残念。
ともかく、さすがウリだけにインパクトは十分でした。
作画崩壊
作画は、残念ながら前回にも比べて酷くなってましたね。
まあ、文化祭の絵となると、たくさんの人や背景があるから、いつもより大変ではあるのだけど…
アチコチにいろいろ作画へのツッコミどころがありました。
パッと目についたところいえば、香澄が接客しているところ。
香澄が異常に身長の高い人間になっていました。
絵心ない人だとわかりにくいけど。背景が間に合わないための酷い誤魔化し。
あと、沙綾が手紙の歌詞をみて涙するシーン。
手紙に落ちた涙のボタッが、デカすぎ!
えー、こんなデカイ涙あるかよ!とツッコミたかったです。
涙の流し方もイマイチだったし(まあ、前回も気になったけど)。
この回はもっと素敵に作れましたが、作画崩壊により絵や動き、演出が単調になったので、とても残念な結果になりました。勿体無いです。まあ、Blu-rayで多少は修正されると思いますが。
この分ですと次回は特集でお休みしても、まだ作画問題は続きそうです。
おわり
沙綾編が終了し、ついに仲間が全員そろいました。
これでもう、なんでもできます!日常ギャグをとことんやろうが、新曲歌おうが(笑)
Cパートでは、ライブハウス「Space」をたたむという流れに。
ラブライブの廃校でなく、廃ライブハウスです。
廃ライブハウスを防ぐために、何かで有名になって人を集めようとするのでしょうか?
もちろんスクールバンドの甲子園「BanG Dream!(略してバンドリ)」が開催されるのでしょう。
でも、出場に向けて頑張りすぎて香澄が倒れ、なんやかんやで「もうバンド辞める…」とか言い出し、有咲にビンタされ「オメーは最低だよ!」と言われるのでしょうか。
それはそれで見たいものです(笑)
でもアプリでは、たくさんのバンドがいるので、そういうスクールバンドの甲子園がある可能性が…
まあ冗談はともかく、今後の展開はどうにでもなるような気もしてきましたね。
仲間ゲット編は、問題があるとけっこう目立ちましたが、今後は多少問題があっても、なんとかなるような気もします。香澄が超自己中でも、なんかギャグで成立するような。
そんなことを思いつつ、次回は特集と。
なんとも次の展開が待ち遠しいですね。残りタップリ5話分ありますから。
うっかり目の離せないバンドリに期待大です!それでは、また。
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【作品分析(全話)】
1話「出会っちゃった!」/2話「やっちゃった!」/3話「逃げちゃった!」/4話「怒っちゃった!」/5話「ドキドキしちゃった!」/6話「作っちゃった!」/7話「ケンカしちゃった!」/8話「走っちゃった!」/特BanG!「3rd LIVE」/9話「バイトしちゃった!」/10話「驚いちゃった!」/11話「歌えなくなっちゃった!」/12話「キラキラしちゃった!?」/第13話「歌っちゃった!」(最終回)/総括/OVA「遊んじゃった!」
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Amazon「BanG Dream!(バンドリ)」グッズ情報
小説はアニメでいうと8話までのお話。
同じストーリーでもこんなに違うなんて…君はバンドリの真実を視る!
【分析】『BanG Dream!(バンドリ)』アニメ版と小説版の比較
出典:BanG Dream! Project/アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』(AbemaTV 2017年3月11日放送)第8話